musetteの公演レポート

ベルサイユのばら2001

2001/04/10

まりちゃんは初日と歌い方を変えてきた。古典的なほうにだが、あの歌でああいう衣装なら、大きく歌ったほうがいいのでしょう。
声も、初日よりずいぶん出ていたように思います。

あの素敵なオスカルを見た後なので、オープニングのアンドレとオスカルのセリ下がりが楽しい。
たかこさんはますます大きくて、白い衣装なんてますます大きい。1人ガリバーみたい…。座談会で読んだように、本気で大きく見せようとしたら、こんなになるものなんだろうか???
とにかく、初日とはぜんぜん違っていた。

これだけ芝居をする「ベルばら」を観るのは初めてかもしれない。今までは、「コスチュームもの、キャラクターやニンに負うこと」が第1だったのだと、宙組版を観て気づきました。これだけ愛しあったフェルゼンとアントワネットは、今までいなかった。
まりちゃんは別の存在(アントワネット)になっており、まりちゃん本人の実態は存在しないので、気恥ずかしさもなく、幸せな2人の世界を観ていられるのです。そしてまた美しいお似合いのふたり。
確かに恥ずかしいセリフも多いのですが、あれだけのお膳立てならセリフにも装飾が必要なんでしょうね〜。
これだけの芝居をしてくれるとは、初日からは予想もできなかった。
久しぶりに女優な花總まりが見れて、ほんとうにうれしいです。

そして、オスカル。
公演が始まるまでは、水しぇんはアンドレのほうがよくて、オスカルは合わないと思っていたのに、あの細部まで行き届いた役作りはどうだろう。水しぇん自身も真面目な人なんだろうと思うし賢いんだろう…。
「いつもそんな甘えを自分に許している人間だ。それでも愛しているか?」なんて生真面目な決まりセリフも、ただの段取りではなく、すっとはまって行ける。アンドレの「愛している」を待つところくらいから、どんどん目が恋する女になって…今宵一夜のカーテンが閉まる瞬間にアンドレを見上げる目。あの切ない瞳。あれはたまりません(~-~*)。
アンドレも「いつでもOK」な感じで、オスカルが「この私が好きか?」と聞く前からオスカルの体を触っているし、歌の後、最後は覆いかぶさっておられます。この2人が交代しても、やっぱり盛り上がるでしょう。

ブイエ将軍に対峙するときも、その後も、私が今まで見たオスカルさんたちは、自分のことだけに必死であったようにすら思えてくる。
水オスカルは、あんな短い場面の短いセリフで、王妃様を心から思い、市民の先頭に立つ決心を表現できるんだもん。
悲しみをエネルギーに変えて、髪を振り乱しても、その髪すらオスカルだった。そして、ひとつひとつのしぐさや動きが美しくカッコいい。ビューティフルというより、ハンサムなのです。

オスカルとアントワネット、この2人の存在感で「ベルサイユのばら2001」はすごく楽しいものになりました。

その影で、地味だが、たかこさんも悪くないどころか、いつも以上にいいんです。アグレッシブな見せ場がフェルゼンには…たった1分半の「ゆけフェルゼン」くらいのものですから…。謎だらけの「剣の舞」は、海人さんみたいでどうもいかんし…。
しかし、深く深くひたすらに王妃様を愛すフェルゼン。アンドレに対してはずいぶんお兄さんなところも見せたりして「身分違いがなんだ!」と言ってたりするが、間男にしちゃあずいぶんな言い草では。でも、ここはフェルゼンの男っぽさが見れるシーンですね。

2幕は、すべてが牢獄に向かって収束してゆきます。
幕があいて、アントワネットさんが髪を梳いている…それだけで、もう引き込まれます。
歴代のアントワネットさんたちも、この牢獄シーン、どなたもよかったし好きでした。
でも、ここまでやってくれた人はいなかった。王妃として目覚め、務めを最後にして立派に果たすために誇り高く断頭台にのぼっていった人でした。
紗幕の向こうで「さようならパリ、さようならヴェルサイユ、さようならフランス」というときの、突き抜けたほほえみ。
フェルゼンさんの「王妃様〜〜!」という叫び。胸がいたい…。

宝塚なんだけど、やっぱり、女性が活躍できるお話は、おもしろいものですね。
コスチュームはどうもよろしくない、セットはワンパターン。というなかで、この作品で芝居を見ることになろうとは…すごく意外でした。

これだけ芝居に引き込まれて一生懸命観たら、疲れて疲れて。
フィナーレもボレロがありますからこれまた集中。公演が終わったころには腕力がついているかもしれません。

また感想が変わってきたら書きます。