musetteの公演レポート

ミケランジェロ/VIVA!

2001/07/23

「ミケランジェロ」

谷作品には最近珍しい「あんたが全部悪いんやろ!!!」とつっこみたくなる主人公ではないタイプ。しかし、重病人を望みの場所に運んでやる配慮は師匠譲りなのか?
主人公はひたすら作品創造に邁進しているだけで、まわりの人間たちがちょこまかするだけで、ドラマというものがない。「愛アモーレ」といわれても、ミケランジェロの普遍の愛って、どこにもない。酒場で子供と遊んでるくらいだだし年もとらない…。
なぜかスターブーツを履いています。
石工が登場したと思ったら、もう次のシーンでは圧死して担架に乗せられているし。
コンッテッシーナは、ミケランジェロに合わせて不眠と食べないことで衰弱して死んでしまうが、そんなに長期間もったほうがすごいと思うのだった。
ピエタとダビデの像は…私は美術系でもあるので、悲しいくらい、かなりできが悪うございました。バランスもひどいしあまりに不細工。デッサンが狂ってるぞ!!!!大道具さんがつくるのが大変なら、外注に出せ〜!!!!(あとで外注に出したと聞きました。…それでも^^;?)
プログラムには小さいけど写真も載っているので、みなさんちゃんと見て口直ししておいてね…(+_+)。
「ミス・サイゴン」のホー・チ・ミン像を思い出した…
ルネッサンス時代、とはっきりしてるのに、音楽的にはいつもの宝塚だったのが残念。法王庁のシーンくらい、壮麗な音楽が流れていてもいいのでは?
装置はよかったです。
幕のかわりに、(よく知らないけど)ミケランジェロのつくった寺院の内部天井を模した吊りモノが降りてくるので、谷作品の虚しいカーテン前が楽しかった(芝居を観ないでそればっかり見てました(^^ゞ)。
舞台天井のところも、同じモチーフがリズムを変えて表現されているので、なんだかそこだけでうれしくなってしまいました。

●ミケランジェロ/愛華みれ
持ち味が暖かいので、傲岸な芸術家にも偏屈な天才にも見えないのだが、私の知っているタモさんの中で、いちばんよかったように思います。
何より、歌に気持ちを乗せられるようになった。
あと2公演くらいやれば、有終の美が飾れるのに、もったいないなあ…
●コンテッシーナ/大鳥れい
いい衣装を着せてもらっております。
貴族の雰囲気も声もよろしです。しかし…暗転の間も保っていようね。美しいはずの姉妹のシーンが終わり、暗転といえども、いきなり裾をがばっとつかんで、前傾姿勢で袖にダッシュするのはやめてくれ〜(^o^;)。一緒に袖に駆け込む渚あきちゃんもすごかったが、大鳥れいちゃん…おもろいわ〜。
ミケランジェロを思うけれども同じようには愛してもらえず、食べない寝ないで衰弱するんだけど、最後の涙はとてもきれい。
でも、「あさきゆめみし」もこんなだったから、もっと違う役も見てみたいです。
●ユリウス2世/汝鳥令
最高。
ケチで好戦的な法皇も、システィーナ礼拝堂の天井画を見て敬けんな気持ちになるところ。キリスト教徒でなくても、何か神妙な気持ちになってしまうのだった。すばらしい役者さんだわ。20年経って、こんな方が残っていてくれるだろうか。
●クラリーチェ/彩乃かなみ
戦争で親を亡くし、トラウマを持っている。
ジュリアーノのモデルで恋人。
「ずっと裸で恥ずかしかったけれど、でき上がった絵を見たとき、あんたがあたしを愛してくれてるってわかったの」
かわいらしい笑顔でこんなことをいうのです。うそがないねえ…。なんてけなげなんだろうか。
髪とかつらの色が合っていなくても、首も腕も太くても、君はヒロインだあ!
●孤児/桜一花
ミケランジェロの友達という孤児。たぶん8歳くらい?
でも、目がきらきらしていて、いつでも元気で子供らしい子供のできる一花ちゃん。同じタイプにはまらずがんばってね。

ショー「VIVA!」

たいしたコンセプトはないけれど、「ずっと走っているショー」というのは楽しい。
絶えず舞台上に人があふれていて、振り付けがしょーもなくても熱がある。
「ベルばら」を見た後だとよけいなのかもしれませんが、なんだかその疾走感がここちよいのです。昔「アンド・ナウ!」ってショーがあったけど、あんな感じです。タモさんだけ走ってたら倒れるのでみんなで走ってますが。サヨナラを感じさせないけど、中央にエネルギーが集まっているのもいいな。ハードロックも新鮮に感じてしまうくらい。
ロックでラテンでちょっとデンジャラスなハスラーのシーンでは、縞のスーツの男達が中で踊り、周りでは女たちがタレタレの衣装で、椅子に乗ったり跨がったりして、ちょっと挑発的。しかし、せっかくのアダルトなムードなのに、どーして「マンボ〜〜〜!!!」って叫ばせて、「マンボNo.5」なんかでおちゃらけちゃうの?三木氏は選曲は狙ってやってるんだろうけど、それではつまらないの…。
しかし、ここの下手のくるみちゃんの黒いボブ、挑むような目つきがとってもいいですわ〜。このあとのラテンの、ミンキーモモみたいな髪形も、ぐ〜〜〜。
かなり歌えるようになったタモさんは、ショーのシーンが歌でもつことができるようになったと感じました。
でも、サヨナラなのにたくさん出まくりじゃないからファンの方は物足りなくない?
大鳥れいちゃんは、クラブのマダムみたいなドスをきかせた歌。「ヴェロニック」のアガートは最高でしたもんね。ああいうのがいいなあ、やっぱり。
かなみちゃんは、囚われの姫。
腕や肩は隠してあるにしても逞しいこと…。でもちゃんとそこでもお芝居してるからね、見てて飽きませんわ。シーン自体は意味不明。
アサコちゃんが、懐かしい「ゴールデン・デイズ」のバーニングダンサーの衣装を着ていたわ。
八人口常連になった桜一花ちゃんは、どこでも飛び回っております。よかったね!
そんなわけで…前でかなみちゃんを見れて楽しかった〜。