musetteの公演レポート

カステル・ミラージュ

2001/11/19

初日から、1階と2階で観てきました。
宙組初日は、毎度のことながら、出来がよくありませんが、二日目からはずいぶん良くなります。それは今回も同じようです。
でも、読んだときに期待でいっぱいだった歌劇の座談会のことは、時代背景などや出演者の参考程度にとどめたほうがいいかもしれません。ざっと感想を書いてみますね〜。でもまた日々変わっていくんだろうなあ。お衣装はぽりーん先生にお任せします。

「カステル・ミラージュ」
お話は、過去の小池作品がずいぶんミックスされております。幕のしまり方、お芝居の始まり方は「JFK」とほぼ同じ。弟がややこしくなった女性が、庇護されているエグゼクティブから離れて、路傍の石のような男と出会って愛に目覚めるところなんかは「タンゴ・アルゼンチーノ」だしなぁ。ちょっと愛の描き方が淡泊な感じがするところも。成功をねたむ人々が夢の実現を阻もうとするところは「失われた楽園」に似ています。

しかし、とにかく。たかこさんがカッコ良くて、哀しい。金森さんの振り付けの幻想シーンでは髪を振り乱して悩みながら激しく踊るのでまたこれがとてもいい。海人もフェルゼンもふっとぶ素敵さでございます。
愛の部分をもっと脚本で書き込んでくれていたら、更に哀しい愛の物語になっただろうに…。
エヴァ・マリーは、そんなに悪い女じゃありませんでした。つまらん…もちろんエヴァ・マリーがいちばん悪いのですが、それはただレオナードと一緒にいたかっただけ。
テイラー氏との日々が「抜け殻」であったことを示す場面がないので、エヴァ・マリーがアリアーヌについくりかえられていった経緯も、本人からの説明だけで、しかも前半に全部わかってしまうのでミステリアスでもないし…。
レオナードとのキスシーンが3回あるのでそれは楽しいのですが、全部立ったままなので柴田作品のように手を変え品を変えってわけにはちょっといかないところが残念。(何がみたいのだ>自分)
エヴァ・マリーの台詞で特にはまったのは「だめよ、だめ」と、「ほんと?」のふたつ。特に「ほんと?」はもう絶品です。その喜びと期待でいっぱいのけなげなちょっとい悲しいお顔はなに!?!?これはほんとーに悪い女にはまったもんだわレオナード。あんな顔されちゃ〜誰だって命かけますよ。

わたさん、伊織さん、なるぴょんの専科チームもそれぞれいい味出してくださっています。やっぱり久しぶりのわたさんは嬉しいな。
テイラー氏にもっと愛ゆえの怒りがあればさらにさらに物語に味が出ることと思います。
水しぇんとかなみちゃんの「フレッドとジンジャー」みたいな明るいコンビも息が合っていて微笑ましい。窮地に陥ったレオナードを力づけるジョー。見守るパティのうれしそうな顔ったら素晴らしい。
組替えでどんどん人が出ていってしまってスカスカだったように感じていた宙組も、なんだか急に層が厚くなったみたいで、下級生に至るまで出番が多くて楽しそうです。そのエネルギーが作品に力を与えている部分も大きいなと感じます。
一回観ただけでは、観客の気持ちが中途半端なままで芝居が終わってしまうようで、「あれれ?」という感じもするのですが、二度目からはレオナードが終末に向かって進んでしまうのが悲しくなります。
愛も成功も、かなえるためには組織を裏切らなくてはいけないとき…人はあんなふうに命を投げ出すのだろうか…?
エヴァ・マリーはこれからどんなふうに生きていくのだろう。

「ダンシング・スピリット」
予想していたとおり…前奏の1小節目を聞いたら頭の中は「レ・シェルバン」が鳴り渡り、レビューの女王がせり上がる幻想を見ました。
座談会や前知識では「ジャズな世界」だったように思うのですが、なんだかこれもちょっと違うよ…?
人が常にたくさん出ているので、新しく入ったかなみちゃんを観なきゃいけないのに、見たい人が同時に出ていて左右に動き回るし踊るしでものすごく忙しいのです。
二階でご贔屓の踊ってる場所をぜんぶ最初にチェックしたほうがいいかもしれません。とにかく忙しい…。もし、二人以上のご贔屓がいたら初見はきっとなんだかよくわからないうちに終わってしまいます。
専科さんや転校生君たちがたくさん出ているので、思わぬところに意外な人が出ていたりするからよけいややこしい。
下級生もみんなエネルギッシュに踊っていて、楽しさが伝わってきます。ただ、どれもハイテンポ大音量ハイスピードな印象なんで宙組ファン、こういうのに慣れておりません。これからついていけるようにがんばります〜。
宝石の場面でぶらんこに乗って舞台に降りてくるとき、久しぶりにまりちゃんの素敵な膝下が見れます。
そして「猫とねずみ」のシーンは耳のようなくるんとした髪型がかわいいです。かなり久しぶりだと思うのですが、群舞に入って(相手役と組まないで)踊るような場面もいくつかあって、まりちゃんも楽しいんでしょうね〜きっと。しばらく踊っていないからダンスはまずいのでは…思っていたんだけど、どれもよろけたりしないで頑張って踊ってます。
宙組ファンとしてはこういう踊りが多いショーはなんだか新鮮。