musetteの公演レポート

鳳凰伝/ザ・ショーストッパー

2002/7.12〜

「鳳凰伝」

誕生の場面で、カラフとトゥーランドットの宿命を感じさせる(宿命というよりも星の導きと言ったほうがぴったりくるかな)壮大なプロローグにはわくわく!その後少々説明的な短い場面が続きます。しかし北京の民衆のコーラスは迫力満点。

ただ、人々の行動についてはなんら裏付けなく、みんな大脳がないのでは…とも思える単純さ。北京の民衆はともかく為政者たちまでそんなでいいのか??でもきっとこれは物語を見ちゃダメなのね…。寓話なのね。

民衆やバラクの話の中、トゥーランドットは何者なのか??といく気持ちが高まったのち、開演30分後くらいに姫は現れます。6人裾持ちを従え、約4分間のソロ。ものすごい威厳と美しさ。声も良く出ています。

銀橋を渡って歌う間、カラフは動揺し、視線はくぎ付け。
あの自信はどこからやって来るのかわかりませんが^^;、父親が懇願するのも振りほどいて謎に挑戦するのです。

カラフがなぞなぞを解いてしまい、掟にしたがって結婚しなければならないのに拒絶するトゥーランドットの声がすさまじいですね〜〜。特に夢の中で。トップ娘役がこんなふうに求婚に対して憤怒し、汚く拒絶する声というものを聞いたことは今までありません^^;。
それでも自信満々で強引な「魅力満点なぞなぞ博士・カラフ」に惹かれていく(トゥーランドット本人は認めたがらないけど)のですが、このへんも通常の宝塚セオリーとは違っていて、面白い。
キツネでも憑いたかのような魔物じみたトゥーランドットに魅せられております。ああでなくては荒唐無稽な敵討ちの理由に納得などできません^^;。

さて、20、21日の土日は観劇三昧でした。
見どころも心得、見慣れてきたせいもあるのでしょう。寓話の得心できない部分を気にせずにいて目と耳を開放すれば鳳凰伝…音がほんとうに聞き応えあり、文句なしで名作です(^o^)。『歌劇』として恥ずかしくない作品。初めて宝塚を見る人に、自信をもってすすめられる作品だと思います。

とにかくトゥーランドット姫、どの場面も美しく絵になり、まわりを圧倒する存在感でエクセレント。天から姫の魂が降りてきたような魔物ぶりといいましょうか^^;。見たことのなかった表情もあり新鮮。まりちゃんの、こういう取り憑いたような芝居をずっとずっと待っていたので、今回ほんとうに嬉しいです。歌もいい!宙組一丸となり、まさに『歌劇』です。最近は歌が弱すぎた劇団、面目躍如ってところですかね。

初見では、恐ろしいトゥーランドットに気圧されてしまう人も多いかも。
でも、異国の王子に復讐しつづけるトゥーランドットの心情もよくわかってくるのですが、私の希望としてはあまり人間らしくなってほしくない。寓話だしね。こないだの土日はちょっと泣きすぎか?トゥーランドットは魔物でいいじゃないか!と思うのです。
タマルのかなみちゃんは毎回すばらしく暖かい演技をしてくれてます。そのいじらしさとできる限り対極であってほしいなあ、と。

「ザ・ショーストッパー」

ずいぶんと盛り上がってきてはいるようです。やっぱり構成の問題だなあ…。まりちゃんも「ダンシング・スピリット」から、まるで星奈さんのように踊りっぱなし。でも結構しっかり踊ってるのでよかった。願わくば、動きになれて来たら、場面ごとに、組む相手ごとにもっと表情を変えてストーリーを感じさせてほしいと思います。ファム・ファタールはもっと誘惑していただかねば。

ショーの構成のおかげで『豪華な発表会』になってしまっている感じ。場面も曲も振りも悪いところはないのに、初日はファンもどうしていいかわからなかった…宙組、いくら団結しても、真ん中のスターさんがいくらがんばっても、場面をひっぱり、大劇場の空間を埋めることのできる人があまりに足りないです。
ショーがストップできるような場面は宙組ファンとしてなら『明日へのエナジー』とか、香港のタップの場面とかを思い浮かべますが、それにはちょっと苦しいかも。
このザ・ショーストッパー、引かずに自分から参加したほうが断然楽しめますね。