2003/10.6
初日を見ると、たいがい期待が大きすぎるので不機嫌になるのが常ですが、ここ何作かで諦観することを会得したのか、心安らかに見ることができました…。
「白昼の稲妻」
要素が多く、それぞれのグループが役割をもっています。時代の説明を舞台冒頭で「テアトル・パリのメンバー」に芝居仕立てでしてもらっていますが、ここが小公子・小公女やらナポレオンとジョセフィーヌやら出てくるので、知っていればいるほど面白いです。「王政復古時代のパリ」というところでは「仮面のロマネスク」とだいたい同じ時代ではあります。
劇中劇で「オセロ」をやりますので、知識のあやふやな方は事前にプログラムを読んでおきましょう。知識があるか、2回以上見ないと人物関係がわからないかもしれません。しかも音も人物も錯綜しております。特定の人物だけ追っていたら、なんのことだかわからないと思います。
近ごろの宙組公演は「トップ2人をめぐる物語」でしたが、今回はいろんな人も生きて動いているので、細部も見れないともったいないように思いますので…。
とはいっても今日は初日。明日以降、いろいろこなれて来たり新しい発見もあるはず…。
復讐のために亡命先から帰ってきたヴィヴィアンヌ。このステージの使い方がとても美しいです。小舟で帰ってくるのがちょっとわからないけど…目立たないように帰ってきたはずだけど…美しいから許す!
8年ぶりに会えたヴィヴィアンヌが、何か隠しているような様子が心配で心配でたまらないアルベールであります。
立ち聞きから発覚した過去の野望(ちょっと間抜けだ…)。恨みを歌うヴィヴィアンヌの追いつめられた感じはとてもよかったですねえ…。ただ、たった一人で8年間燃やしてきた恨みなら、たぶん普段の顔つきまでも変わっているだろうとは思うのですが、そこは宝塚のヒロインってところでしょうか?少女時代の和音美桜ちゃんの方が恨みが深いのです。
衣装は任田先生。まりちゃんのドレスは最近まれに見る量感と質感。きっと近くで見たなら、パニエのシャカシャカいう音が聞こえるのだろうな…。
私は、最後にサバティエのところに行ったときの、紫のベルベット・乗馬服ふうのと、劇中劇のデスデモーナで着るクリーム色のネグリジェがお気に入り(#^^#)。
そうそう、劇中劇ですが、いろんな声と音が錯綜していて、さすがは荻田演出。ここが見どころです。全編これでもいいなあ…。
2番手時代よくショーでやっていた「怒るたかこさん」がいいわぁ…(#^^#)。美しい妻の不貞を疑い、嫉妬に狂って殺してしまうシーンはずっと見たかったので、これはうれしい。もっともっと怒ってくださいー!そして、その後の絶望を見せて〜!
しかしデスデモーナよ、一度首をしめられたら、「リングにかけろ」じゃあるまいし、何度も立ち上がらないでほしいの…。ヤオヤ舞台の奥で横にならないで、もっと近くで仰向けに美しく死んだままでいてーーー!
そして、その姿のまま昼間のようなパリの街でハッピーエンドされても…。
憎い敵をやっつけても、虚しさは残るはず…だが、そこは黄金のヒロイン。すぐ鼻のさきには素敵な恋人が両手を広げて、城でもなんでも建ててくれる(いや、これは話が違うな)勢いなわけです。そこは解せん…。
アルベールにも何か痛みが、たとえば知らなかったにしても陰謀に加担してしまっていたとか、なんか影がほしいなあ…。
他の人物についてはまた後日。
「テンプテーション!」
…ちょっと期待外れかな…。
今回、リバイバル場面がメインなのに、つなぎがどーもうまくいっていないように思います。
「熱愛のボレロ」がそんな中盤らしき場面のすぐあとにあるのも早すぎるような。振りもタイミングも星組とほぼ同じなのですが、たかこさんとまりちゃんはまだまだ淡泊だ…。
「テンプテーション」も、星組のときは、ハッチさんがセクハラしてそれで、というようなストーリーがあったからよかったのに、大階段の下でされても…。振りもほぼ同じですが…。ベルばらのボレロと大差ないように感じてしまいますねえ。
こちらの衣装も任田先生です。うーん…左右非対称にしようよー!背中は見えますが、今回は素敵な脚線美はチラともみえません…(T_T)。
芝居でもショーでも、和音、咲花、花影の有望若手娘役はなかなか適材適所で、いいところで使ってもらっています。そのあたりは娘役ファンとしては、とても嬉しいですね。