2004.6.4
劇団四季「オペラ座の怪人」は初演時と今回のツアーの2回見ています。 あの主題歌と仮面舞踏会のシーン以外は特に好きという演目というわけでもなく…。原作は角川文庫。
…しかし今回の潤色された宝塚版、演出に関しての懸念がここまで的中してしまっては、なんと書けばよいものやら。
ステージの使い方のまずさが気になって気持ちが入っていけない宝塚版「ファントム」、どうもいつもよりいろいろ気になってしょうがないんです…。
まず、開演5分前に緞帳が上がって最初の幕が気に入りません。作品の扉です。表紙です。
オリジナルのロゴがアレンジされてあしらってあるんですが、ロウソク部分が「Pha」と「ntom」の間に堂々と、太々と、白々と存在していらっしゃるんですが…それでは「ファイントム」と読めてしまわないか…??こういう改変は普通やりませんが、OKだったんですか…??
朱色の炎はクリスティーヌの姿ですね。白いロウソクの柱には、おぞましく赤い血がしたたり、その根元には白いマスク…でもこのマスクはなぜかオリジナルとは違い、ロイド=ウエーバー風です。なぜだか全部描いたあとで、顔の左半分側が消してあります。
そして、どうにもこのロゴ全体の扱いが大きすぎて、もしくは真っ白で、目をむきますね。2階の最後列からでもまぶしいくらいです。もう少し控えめにしたほうが上品でよいのでわ…。
そして、花道の当て物が赤(ピンク寄り)に金の草模様で、まるで「ベルばら」…。
イエストン版の装置がどうなのかは知らないけど、四季で見た、オペラ座を模した黄金色の額縁と深紅のカーテンの重厚な雰囲気のほうがだんぜん好みだなあ…。
ここらでなんだかもう、なけなしの期待はしぼんでしまいます。
前奏も曲も素敵です。オペラ座の屋根に立つたかこさんもたいへんかっこいいです。
でも、いきなり「僕」ですか…。
「聞いてくれー」と聞くと、あの「真夜中のゴースト」を思いだすのは私だけでしょうか…。
プログラム見てなくても、すぐにわかるKAZUMI-BOY先生振り付けです。好きなんですよ、たかこさんが踊るKAZUMI-BOYはカッコいいから。でもこの演目でどうなの…。黒天使な「従僕」たちと、日々ダンスで鍛えてるんですか、このバージョンのオペラ座の怪人は??傷があるほうがかえって影があってカッコいいんですけど、今は踊りづらいから仮面はしていないんですか?もうタネあかしですか?
ファントムって孤独な怪人じゃなかったんですか??
余計なお世話でしょうが、日光にもあたったほうがいいですよ…。
新曲を印刷(謄写版??)して売るクリスティーヌ。それで生計たててるの…??それに、パリの人はみんな楽譜が読めるんでしょうか?ま、私だって可愛いマドモアゼルがなんか売ってたらつい買いたくなるでしょうから、いいんですけど…。
クリスティーヌ、緑色のドレスにレモン色の帽子?ま、いいんですけどね…。
偶然だろうけど、ファントムの住んでいるところを見つけたらしい…。(誰が無数のロウソクに火をつけるの?)
ここでしか使わない豪華な階段セット(ロウソクが過多)の中からせり上がるファントム。ここでもなんだか「真夜中のゴースト」の記憶がよみがえりますね。ファントム様は、ポスターでお召しの素敵な衣装です。
まだ何も見ていないのに、いきなり後ろから忍び寄り、手慣れた一連の動作でナイフを使い、ブケーの喉を掻き切ります。
そのあと怒りに満ちて(プログラムにそう書いてある…)ダンスと歌。銀橋を渡って下手袖からセリ下がり…なんだかねえ…。
カッコいいんですけどね…。
※6/5に観劇したところ、ブケー氏はまともに近距離でファントムの顔を見て、おまけに指までさして「か、顔が〜!!!!」と恐怖の絶叫をしておりました。これなら怒りに満ちて殺しちゃったと言っても矛盾はないですね〜。
出てきたらいきなりクビです。ジェラルドって英語読み??フランス語読みならジェラールじゃないかと…。
クビになったらいきなり銀橋で歌です。「あ〜どうなるのか?」初日の私は「…どうなってるの??話が見えない…」
このジェラルド・キャリエール、オペラ座の地下に住むファントムにいろいろと便宜をはかっているようです。でも、実は怪人の○○であるジェラルド・キャリエール…完全な職権乱用でございます。
幕が開いたら、そこはファントムの住む、地下です。「私は解任されてしまった」と聞かされて、「なんだって?」と各自のポーズで反応する従僕たち。…人間?それとも人間には見えない存在??若くて健康な男子(しかもイケメン揃い)たちが、なぜそんな地下で働いているの??カルロッタの楽屋でいたずらしていても、カルロッタとヴァレリウスには見えていないみたいだけど…。…どんどん頭の中は混乱していきます。
レッスンを受けるはずが、衣装係として働くことになったクリスティーヌ。
うれしそうです。でも、いきなり働けるなんて、いったい普段何をしてたんでしょうね。楽譜を売って生計を??身内はいないの??
3針ほど水色のドレスのつくろい物をしたり、ドレスをかごに(無意味に)出し入れしながら、それはそれは楽しそうに歌うクリスティーヌ。無意識的に、ちょっと下唇を噛んでみたりするところがかわいらしいですねー。
歌声を聴いてファントムだって地下からグランドピアノごと(笑)見に来てしまいます。母によく似たヒバリのような声を近くで聴きたくて…。自分なら野の花のような声をブーケのようにしてあげられると思って。
ところで、見にきたはいいけど、姿がおめがねにかなわなかったら話は終わってたんでしょうか??このクリスティーヌがぶちゃいくなら、もしかしてあと10年、いや、20年待たなきゃ次の子は現われなかったかもね…>ファントム
見られたくないなら最初から仮面つけとけばいいのに…。ま、いいんですけど…。
レッスンは「バババババババ」「ララララララ」だけで終了。ピアノを弾いてますが、聞こえるのはハープシコードの音色ですね。アメリカ版CDではクリスティーヌのパートで、ファントム先生が「Straight!」とか「Relax!」とかキビシく指導入れてます。
レッスンは地下でやってるんですよね…?いいのか連れてきて??>先生
「ドレミファソファレファミ」と歌いながら手をつないで銀橋を渡ります。そりゃまあ、そんなロマンチックなことしてたら怪人と先生が同一人物だとは思いもつかないでしょうけど…ほんとに素直ですねクリスティーヌ。
「You are the music」とてもきれいな歌です。
「カルメン」のリハーサル。踊るスカーレット…じゃなかった「踊るカルメン?」のソレリ中心のナンバーに茶々を入れに来るファントム。純白です…ロングブーツです…。
なんの役のつもりなの?なぜそんなみんな見ているところに出てくるの??
もちろんファントムは人間ですから、みんなに見えてます。なんで知らない人が躍り込んできたのにそのままリハーサルできるの(笑)??
ケチつけのおしまいに、ブケーの遺体をのせた荷車を置いていきます。
※某お茶会で聞いたお話によると、「原作ではファントムのいたずらは踊り子さんたちの噂で尾ひれがついて広まっていったので、舞台ではそれを視覚的に現したかった」とのこと。そのため、ファントムが見えている人もいれば、見えてない人もいる?のだとか。だから一緒に踊ってる人もいれば、カルロッタみたいに『どうなってるのよー!』と叫んでる人もいるわけですね。…そう聞いても納得できないけどね…純白じゃあね…。
キャリエールったら、解任されてもちょこまか顔を出してくれます。そんなに仲がいいのに、なんで解任されたって知らないの??>フィリップ
小さな声で不安そうに自分の歌を歌うクリスティーヌ。先生にその歌もレッスンしてもらったのね(喜)。
クリスティーヌを勇気づけ、ビストロの窓を突き抜けて舞台正面を通り、下手袖で一緒に歌うファントム。帽子もコートも仮面もつけてるってことは、そこに存在してるってことですか??まあ、いいんですけど…。この登場は空間が別だから、リハーサルよりよろしい。
でもね、ご機嫌なファントムさん、下手袖でスッポンせりが30センチほど上がってるのが、ミカン箱に乗ってるみたいでイヤなんです(泣)。平地でいいんです(泣)。そのあとに広場の広告塔の中に入り込んで、クリスティーヌとフィリップの仲むつまじい様子を盗み見するんでしょ…??悲しいんですけどね…。回転扉、手動で開けちゃダメ…??
フィリップが歌うアメリカンな、ひたすらアメリカンな歌。私の脳内では、ジーン・ケリーがストローハット振り振りしながらタップ踏んでました…。
フィリップがやたら盛り上がってるのにクリスティーヌはぜんぜん聞いてませんね。「現実ね♪オペラ座で♪主役を歌う〜♪」とか自分のことで精いっぱい。「恋に落ちた、そんな気持」なのはフィリップだけです。クリスティーヌは「気持ちね〜」しか歌ってないもん。そんなに悲痛に嫉妬しなくてもいいみたいよ>先生。でも、あんなに楽しくレッスンしたのに、男前の伯爵となら簡単にデートしちゃうんだもんねクリスティーヌ。フィリップのこと別に思ってないなら、せめてひとこと「先生、やりました!」って小さくつぶやくのが弟子の義務でしょ??
で、下手に浮かぶ仮面の電飾の意味は??エリックのコンプレックス??
そして、パリの広場のど真ん中で堂々とセリ下がり…。まあね、こそこそと広告塔に戻るのもせせこましいしカッコ悪いですがね…。
水の入った透明のコップのてっぺんに透明のフタがしてあります。ちょこっと手前だけ切ってあり、そこからオレンジ色の発泡材やら香水瓶から色の水やら入れて、実際にカーキ色に調合してるんですよ。細かいわ…。
クリスティーヌにそのままの持ち方で渡すので、こぼれる心配はまずありません。
素直に飲むクリスティーヌ。ハーブで作ったといえば多少苦くても気にならないんでしょうか?
このシーンは音楽がないので、その隙に指揮者席につくファントム先生。
大騒動のなかクリスティーヌを楽屋に連れ戻し、ひと休みの二人。
「ファントムだ!!」って何度も言われてたし、シャンデリアまで落として銃撃戦もあったのに、「期待にそむいてごめんなさい」って…??ほんとに人の話を聞かない女ですね(笑)。自分で歩いてたし意識はあったんでしょ??>クリスティーヌ
カルロッタのつくった飲み物は、不気味にも不透明なチョコレート色にゲル化したような(笑)グラスに置き換えられています。化学作用がすすんでるようですね。
そこへ追いかけてくるフィリップ。
ファントム氏、クリスティーヌを抱きかかえます。なぜかすぐ気を失うクリスティーヌ。ファントムさん、どんなツボを押したんでしょうか。初日あたり、抱き上げられたときに「あっ」と小さく声をあげていて、けっこう好きだった(笑)んですが、最近言ってくれません。残念だ。
ファントムは私たちに見えない小さなボタンでも踏んだのか、楽屋のなかのガラスがはめ込まれた部分が自動的に素早く開きます。こういうときに従僕が開けるとかしたら、失笑されなくてすむのに…。
どうしてフィリップが「クリスティーヌ!!」って叫びながらせり下がりするの…??地下へいくわけでもなかろうに…。いい声なんですけどね…。
大事なクリスティーヌを舟に乗せ、いっときの勝利に酔うファントム。
…釈然とせぬまま1幕終了です。