musetteの公演レポート

ファントムぼやきツッコミレポート(2)

2004.6.8

※調子に乗って書きましたので1部のレポートよりよりさらにボヤキ・つっこみがアホです。
(1)で「面白くないなら見なければいいのに」と思った方や未見の方は読まないでね。全部読んでから怒っても知りません。

いよいよ2部です。ここでも同じ、白々と輝く「Phaintom」のロゴ。だからそれじゃあ「ファイントム」だってば…!!

やっぱりこれがないと「オペラ座の怪人」の端くれとは言えません。湖(ジェラルドは沼って言ったけど)を舟で渡るファントム氏。
二人とも着替えてますね(笑)。1部終了後の舟と同じなら、舟の上で着替えたんでしょうか??ファントムはともかく、クリスティーヌも着替えさせたの??そりゃまずいでしょう。
1部終了時はファントム氏は黒い竿をさしていましたが、2部の舟はフリーハンドです。S字型を描きながら、幻想的にスモークをかき分け進む舟。上手前方席に座れたら聞き耳をたてましょう。舟の下からギュルギュルとゴムタイヤの音が聞こえてしまいます。
クリスティーヌは、スモークまみれでとっても息苦しそう(笑)。CS座談会では「来た!」と思ったら息を止めたりしてたいへん、みたいに言ってましたが、舞台で見るかぎりではまったくそんなふうに見えません。ひとふさこぼれた髪も絵になり、美しいクリスティーヌです。
従僕たちがクリスティーヌを舟から下ろすと、舟は自分で(笑)舞台上手奥に消えていくのでした。すごい念力だ>ファントム
下ろすやいなや、不吉な音楽とともに上手の階段から、辛子色のスーツに着替えたジェラルドが降りてきます。
…そこから降りてこれるなら、さっきの舟はいらなかったんじゃない??…それとも1人しか通れないようなせまい通路なのかな…。
急いでいるファントム氏はジェラルドを追い払います。「汚れた星を消し去るのだ、君のために」と歌い、ジェラルドと同じ階段から地上?へ向かうのです。そーか、やっぱり1人しか通れないのか…。

身の上話

クリスティーヌ「エリック?」
ジェラルド「あなたの先生のことだ。彼はオペラ座の怪人として知られている」
クリスティーヌ「なんですって?!」
今びっくりするか?さっき、さんざんみんなが「ファントムだ!」って叫んでいたのに…。それとも純粋なクリスティーヌは、「ファントム」と「オペラ座の怪人」は同じだと知らなかったのかなぁ…。
ジェラルド「彼はあなたを愛してしまった」
…これにはちっとも驚かないクリスティーヌ。
地上ですればいいと思うんですけどね、身の上話。
まあいいでしょう。卑怯者の告白を聞くことにいたします。
私が考えるに…そんなに美しいベラドーヴァなら、オペラ座の道具係とかの若い衆の中に横恋慕する男が絶対いて、ベラドーヴァに「あいつはもう結婚してるんだぜ!」とか言いよると思うんですよね…。完ぺきに秘密の恋だった?パリには小川なんてないだろうから、家族持ちのくせに愛人と郊外へピクニックに行ったのか??>ジェラルド
結婚できないと知り、マリア様に救いを求めるベラドーヴァ。背景にキリスト様は描いてありますが、マリア様はいらっしゃらないようです。
いったい何をお祈りするんでしょう。祈ったところで、状況はかわりません。まさか、ジェラルドが離婚して自分と結婚できるように?
錯乱してさまようベラドーヴァ。ちょっと危ない感じがはまってます>音乃いずみちゃん
ノートルダムで怪しい薬草の丸かじり。「やめろー!」と止めてるのですが、いけない薬なの?その薬のせいでエリックがそんな顔に産まれたの?

エリックは8歳になりました。顔にはフォアグラ状態のこぶがあります。子役を娘役がする以上、年齢はだいたいそのくらいが多いけど…実際の8歳の男の子って、もっとしっかり男の子なんですよねー。演技的には5歳くらい。たっちんはじわじわと男の子らしくなってきてます。声はとてもいい…!

下手袖の肖像画の前でじっと聞いているクリスティーヌ。別にずーっとここにいなくてもいいと思うんですけどね。
タケノコ席から見上ると、美しいですよ〜。私の大好きな角度です。

ジェラルド「そして、オペラ座の怪人伝説が生まれた」
全身真っ白で激しく踊るエリック。このエリックは体育会系のようですね…。
エリックの追い求める母のイメージが騎馬戦(笑)で表現されます。…嫁と姑の戦いか??それが終わったら肖像画のところへ戻ってきて話の続きを聞くのでした。
もうこのへんから、話を聞いているクリスティーヌの中はいろんな愛でいっぱいになり、堰を切ってあふれ出しそうになっています。
クリスティーヌ「先生は、あなたがお父さまだと知っているのですか?」
こらこら、聞きたいことはそれだけなのか(笑)?
ジェラルド「彼のことを知るのは、彼の顔を見なくてはいけない」
…こんなことを言うものだから、クリスティーヌは「見なくちゃモード」に入ってしまうのでした。まあ確かに見ないとわからないんでしょうけど。ほんとに要らんこと言いましたね…>ジェラルド

カルロッタを消す

セットごと地下から上がってきたみたいです(笑)。
すごい衣装ですねー。ぽりーん先生は「モスラの袖」と言ってました。モスラはもっと肉色…ま、いいか。
くし刺しにしたカルロッタごとセットは地下に戻り、エリックは仮面だけ着替えてクリスティーヌとデート。
人殺しした服のままデートかい…仮面にはこだわっていると思われるエリックですが、こういうときにこそ着替えてほしい

ウイリアム・ブレイク

エリックの作った地下の森のセット。ここは当時まだ貴重だった電気をひっぱってきてるんでしょうか。無邪気にはしゃぎながら案内するエリック。クリスティーヌは、森が気に入ってるようにも思えないけど、満ちあふれてきた愛をちゃぷちゃぷ言わせながら、エリックの案内にまかせています。
「よかった」と大喜びで押し付けられたウイリアム・ブレイクの詩集をひらき、1ページ目を読みます。そこはまだ装幀か、または詩集の題名か「誰々に捧ぐ」みたいなことが書いてあるページだと思うよ(笑)>クリスティーヌ
クリスティーヌ「母は僕を南の荒野に産んでくれた」
1行読んで、不安そうに続きをうながすクリスティーヌ。英語だったから1行しか読めなかったのかも(笑)。それとも、「見なくちゃモード」で、早く顔がみたくてしょうがなかったの?

エリック「僕のために歌ってくれるかい」
クリスティーヌ「ええ。でもお願いがあります。あなたのお顔を見せてほしいの」
…もう言うんですか。せめて歌ってからお願いできなかったの??
確かにね、そうしたらこの場面でクリスティーヌは2曲歌わないといけなくなりますけどね…ミュージカルの進行としてはあれで正しいのかもしれません。だからって人間としてどうなのよ。取引みたいに言い出さなくてもねえ…。上に帰る気がないんなら、明日でもいいと思うのよ。
エリックが、それだけはイヤだというのに、母まで持ちだして、なおも見せろというクリスティーヌ。そんな話、どこで聞いたのか不思議に思わないか?>エリック
クリスティーヌは肖像画をバックに歌いだします。エリックにしてみれば、母とクリスティーヌが重なって、こうなるともう最終兵器ですね、逆らえるわけがありません。いうなればスペシウム光線、ライダーキックです。
「さあ、さあ」と促されて、クリスティーヌを信じ、おずおずと仮面をとるエリック。
慈愛にあふれていたクリスティーヌの顔は恐ろしさにふるえ、なんということか悲鳴をあげて逃げ出します。どうしてもここがいちばん許せない。自分から見せろといったのだから、腰を抜かしてでも、なんとしても耐えなさい!悲鳴をあげて逃げるなんて、サイテー最悪の女だ。
まあね、クリスティーヌが地上に逃げないと話がつづかないし、それでこそエリックの悲しみが伝わるというものですがねぇ…。エリック、カッコいいのもいけない。怖くないんだもん…。

クリスティーヌの楽屋

やみくもに走って逃げたのに、どこをどうやって戻ったのか(ジェラルドが通る上手の階段とは別?)、自分の楽屋にたどり着きます。足元の点灯スイッチを偶然踏んだんですね(微笑)。
ジェラルドは壁の隠しスイッチで扉をあけてやります。軽い。軽すぎる…せめて少しの間のあとで開くとかできないかなぁ…しかも開いたらすぐ閉じるし…。
そこまで戻ってきておきながらクリスティーヌ、下へ戻ると言い張ります。じゃあ、階段の途中ででもエリックを待ってたらよかったのに…。当然聞き入れてもらえず、フィリップに連れていかれてしまいます。女って無力だわ…。
着替えて追いかけてきたエリック。タッチの差です。歌ったり着替えたりしてる暇があったら、すぐに追いかければきっと階段でシクシク泣いてるクリスティーヌに追いつけただろうと思うのは、私だけではないはず(泣)。
箱入り息子だったはずなのに、めちゃめちゃケンカが強いエリック。拳銃持ったらカッコいいんですよねー、たかこさんってば!
でも撃たれちゃいます。

父子モノ

エリック「クリスティーヌは、僕を愛してると思ったんだ…それも一瞬だけ。でも生きるに値する」
おお、ボクちゃんだと思ってたのに、ものすごくオトナです。悟ってますね。
ジェラルドに父と名乗られても、ちっともなじらないエリック。恨みとか、ないのかなー。
じゅりぴょんの歌声はとてもとてもいいのですが、展開がどーにも納得できないわ…。
フィリップに捕まえられたクリスティーヌを見ると逆上して「彼女は僕のものだ!顔をみたんだ!」なんて叫びます。悟ったんじゃなかったのね…。しかもすごい理屈。クリスティーヌは納得してるみたいだけど(笑)。
出血してるのに、強いエリック。
思うんですが、男が戦ってるときは、女は「やめてー!」とか、変に言ったり止めたりしないほうがいいですね。たいがい、自分にとって大事なほうに不幸が訪れます。WWSもそうだし…。

最上の幸せ

生け捕りにされるならと死を選ぶエリック。
ジェラルドは警部の銃を奪い「下がれ〜!!」と叫ぶのはいいんですが…もうちょっと威厳というか決意があったほうがいいような…なんかね…アマチュアな強盗みたいなんですもん(泣)。

いまわの際のエリックを抱きとめるクリスティーヌ。おっかさんじゃない母性と愛をいっぱいに表す花總まりさん。こういう演技は他の人ではなかなか見せてもらえません。このところ、先に死んだり、生き残るほうが多かったので、こういうのは久しぶりに見せてもらいましたが、やっぱりすごい。その昔、ミーミルを素晴らしいと思ったのは、可愛かったからだけじゃありません。ヒロインでありながら、包容力にすぐれていたから。ライラもそうでしたね。

さて、愛のすべてである人の腕の中で死ねるなんて、エリックの今までの人生にだってお釣りがくるくらい幸せです。
さっき叫んで逃げられて傷ついた分、さらに幸せかもしれません。
なのにまたしても顔を見ようとするクリスティーヌ。今度は愛を示すことができそうです。当然ながらエリック抗います。でも再度、愛情に満ちあふれた天使の声でライダーキック(歌)です。ほそい指先で美しく優しく仮面をはずし、エリックの頬の傷に限りなく優しくくちづけて仮面をまたつけてあげる…すばらしく美しい絵ですね。ここだけでも値千金です。クリスティーヌの慈愛と、エリックの天にも昇りそうな幸福感を共有いたしましょう…。

幸福のうちに、エリックは息を引き取ります。
どういうわけか地上なのに舟が運び込まれ、どういうわけかさんざんコケにされた警官たちまで戻ってきて敬礼までしてます。…尊敬されてたっけ…。それだったら生け捕りにされて屈辱を受けるとかの心配もいらないし、父の手にかかって死ななくてもよかったんじゃないか…??父は罪に問われないのか…?全員が揃って「ルー」とか葬送の曲のコーラス。
よかった、U氏やT氏作品みたいに「エリック、いやーー!」とか泣き崩れる人が群衆の中にいなくて。(やるとしたら多分「ファントム発見係」のメグ)
ところで、あの舟はどこへ行くんでしょうね…??地上なのに??
エリックはもう死んじゃったのに、念力は誰が出してるの?

たとえば、エリックは舟に乗せられて従僕たちと一緒に前のセリで下がり、クリスティーヌが歌い終わるころ本舞台にいるんじゃいけないの??そうすると間に合わないのかなあ…。近しい人だけで送りたい私。

白い舟に乗って

「もう一度あなたにめぐりあいたい」と歌うクリスティーヌ。
まあね、死んだ恋人が白いカッコで出てくるのはいいんですよ。「カステル・ミラージュ」だってそうですから。
でも、生きてる人と死んだ人が同じ舟に乗るんですよ。これは許せません。しかもそのまま増水です。左右から白い当て物まで出てくるんですよ。
舞台の嘘というにも、あまりに納得できない。クリスティーヌの想像の産物なのだと思ってあげるのは難しいわ…。

そんなふうにするなら、エリックは仮面も傷もない姿で生まれ変わっているといいな。
傷も含めてありのままのエリックを愛しているというクリスティーヌのメッセージだというならば、まあ、仮面があってもどうにか納得もしてあげましょう。でもきっとそんなことまで考えて演出してないと思います。

そして、またあの「Phaintom」の幕で本編が終わり。
そんなわけで、涙など一滴もこぼれなかった私でした。

フィナーレ

同じ幕が開いたら、めっちゃパリなギラギラの背景です。歌うは「アイラブポーギー」って…。

思いっきりアメリカやん!!

どんなにとうこちゃんの歌が素敵でも、衣装も選曲も雰囲気もなにもかも違和感だらけです。
もしかして、「今夜オレと踊るのはおまえだけさ」みたいな、いつもの歌詞でなくてよかった、と思うべきなのでしょうか…。ビラビラのラテンブラウスじゃなくてよかった、と思うべきなのでしょうか…。でもいつものスイングジャズ、いつもの大谷先生振り付けなのよ…。「暗いままでなく華やかな気持ちで帰っていただきたい」と演出家氏は言いましたが、いつもの自分のショーと同じじゃないの。「雨に唄えば」も、やってくれましたね、そーいえば。
ああ、本編と区切ってくれた「愛と死の輪舞」が懐かしい…。「闇が広がる―リプライズ―」の祈りとカタルシスが懐かしい。

ボヤキ・ツッコミ、おしまい。