musetteの公演レポート

The Last Party 

2004.12.8

景子先生の帰国第一作ということで楽しみに見て参りました。
「NOW ON STAGE」でも言われてましたが、シンプルなセットで大劇場と違う空間、宙と月との続演ということで現代アメリカに生きたひとりの男の人生を描こうと思ったそうです。
で、フィッツジェラルド。
宝塚でなら、「華麗なるギャツビー」「失われた楽園」はフィッツジェラルド関係では見ておかないといけない作品ですが 、ゼルダに興味があるのならば、昨年、荻田演出で行われた、ぐんちゃんの映像&独り芝居「Zelda」も見ておきたいですねー。スカイステージでも放送されました。

景子作品のテーマ「人生は旅」「人生をかけて愛するもの」「一番大切なものはなかなか手に入らない」というのは変わってはいません。
とにかく、ジャズエイジの若く美しい「時代の寵児」にタニはイメージぴったりです。ただのベストとズボンの姿のなんと美しいこと。
前半の栄光と対照的な、後半の、酒におぼれてしまい、もがき苦しむ挫折と転落がまだちょっと似合わない(^^;) 。いつまでも若く何にでもなれそうな輝かしい若者です。
スコットの人生をたどるのですが、彼のファム・ファタールであったゼルダはこの作品ではあまり詳しく描かれておりません。もっといろいろやってた人なのになー。
「I am you, You are Me」というデュエット曲ほどふたりが寄り添ってない気がしますが、これからタニに余裕ができてくれば2人で一つの魂みたいに見えてくるのでしょうか。

かなみちゃんは「かわいいお馬鹿さん」てタイプじゃないですからねぇ、無鉄砲にめちゃくちゃやってるようにはあんまり見えません。
精神を病みだしたとこらへんからはやっぱりさすがですね。急に年とったみたいになって。
スコッティの咲花杏ちゃん、いやもー可愛い〜!私がパパならなんでも許しちゃいますよ、もー 。
いつも元気で口跡のいいあおいちゃん。フラッパー姿がとっても似合っていた、ダイナマイトな、えつと鮎ちゃん。
やっぱり私は娘役ファン… 。


前回見たときから、すべてがはるかに進歩していて、驚きました。
短い公演ゆえの集中ぶりなんでしょうか、景子先生の連日のダメだしの成果でしょうか。
最初見たとき、前半部分の、栄光につつまれたスコットは申し分ないけど、後半の苦悩が弱いなあ…アルコール中毒と心臓病で若くして死んじゃうようには見えない…と思っていたのですが、今日は、収入のための小説とほんとに書きたい小説の間で苦しみ、ゼルダがそばにいないこともあってインスピレーションにも苦しみ、命を削って執筆に打ち込むスコットを見せてもらいました。
今まで、きれいなスターというだけで素晴らしいというものの、ちょっと物足りなかったタニですが、この公演も数を重ね、文句なく今までで最高の姿を見せてもらったと思います。こういう公演なら喜んでスタンディングオベーションしたいですね。
かなみちゃんも前回見た時より狂い方など微妙にいろいろ変わっていてとても面白い。もっと脚本で書き込んでおいてくれたら、もっと面白かっただろうなあ…。

ところで、景子作品にはいつも微妙にツメの甘いところというかこだわりの薄いところがどういうわけだかあって、今回はといますと、最初の五峰さんのせりふは「ただいま。」…「今帰ったわ」じゃいけないの?
ゼルダの浮気相手の七央ちゃんが、ゼルダを家まで送ってきて「ボンソワール、ゼルダ」って言うんですが、それでは「こんばんは」です(T_T)。別れ際に「おやすみ」と言いたいなら「ボンニュイ」でお願いします…。もう公演は終わってしまうからいいんですけどね…(涙)。でも月組でもそのままだった…。