タイトルの意味、なんだかいま解った気がします。深い、重い…。
さて、今回の公演は「鳳凰伝/ザ・ショーストッパー」のコンビなのでずいぶん期待しておりました。またエクセレントだといいなあ♪
歌劇誌の座談会でも、かなり期待。
…初日にグレたのはいつものとおりです(^_^;)。
幕が上がると、すっしーがリーダーで、ルーナ伯爵の家臣たちのコーラス。
あの人数で歌詞が全部聞き取れて伝わってくる宙組のコーラス、ほんとうにすばらしい。娘役も混ざってるからかな〜。
20年前の因縁のことを話して聞かされます。これが悲劇の始まり。
レオノーラが名も知らない騎士に恋い焦がれて歌う、あの両手の「フルフル」な動きはどういう意味??しかし、名前も知らないまま「あの人が私のすべて」とか思い詰めるって…若いのねぇ…
高級女官ってなに?オスカルのお母様みたいなもの?お嬢様でもない女官なのに、るいるいが「レオノーラ様」といって心配してくっついてきてます。女官にも女官がいるの?
ルーナ伯は、レオノーラの気持ちを確かめるためなのか、その謎の騎士の格好をまねて庭に現われますが、もうそんなことしてる段階で、夢子ちゃんなレオノーラに好きになってはもらえないと思うのよ(笑)。レオノーラがそんなにイヤな顔をしてキッパリ拒否するあたり、伯の言い寄りや、高潔とはいえないふるまいははじめてじゃないんじゃないか??
拒否されることがマゾ的悦びだっていうなら文句も言いませんけどね…。
あ、でも、家来を戦わせながら「私ってば孤独」と、たっかいところで歌ってるから、少しは現代人に近いのかも?しかし、卑怯ではないけど、ちっともやせ我慢をしない男。
女官を遠ざけて実力行使しようとする伯。もがくレオノーラ。
そこへ登場するマンリーコ。「レオノーラ、私についてくるか!!」
おおっ、若い!!
伯、切り札のごとく「そいつはジプシーなんだぞ!」
レ「ジプシーのあなたから、もう離れられない!」
さっき襲うまえに言わなかったことで、よけい悪い方向に(+_+)。だから、あかんって…。>伯
しかしレオノーラ、そんな時代になんと思いきったことを。…むかし「ジプシーはいや?」とかじぶんで言ってましたねえ。マンリーコはレオノーラの名前を知っていたんだけど、立ち聞きでもしてたの?それともジャンバティスタみたいに周辺を探ってから来たんだろうか(笑)。
ちょっとカラフの入ったマンリーコは、伯を殺そうとしたけどやめます。
でもルーナ伯はもちろん家来に命じて殺させようとします。そんなとこで殺したら、もう絶対レオノーラは修道院行きやね。気づかないあたり、伯も若いのね。
レオノーラ、もちろんなにもできず。女は無力だ…。
朝っぱらから働き者のジプシーたち。盗みもしないし身ぎれいだし。
しかし、あんなにキリスト教徒から迫害されて、ケモノ扱いされてるのに、相手の宗教のことをよく知っていて「ジーザスは嫌いじゃない」なんて、とっても物知りなファミリーだ…。
負傷して戻ったマンリーコに、20年前のいきさつを聞かせる母アズチューナ。
「死んだのは私の兄か?」
「死んだのはおまえだよ」
と言ってるのに、どうもよくわかっていないマンリーコ。ここをしっかり理解していないのがいちばんいけない気がしてきた(笑)。
ルーナ伯に敵対する砦からの使いがマンリーコに来て、どういうわけだか「レオノーラが数日のうちに修道院に入るようだ」と伝えるのでした。
修道院で歌うレオノーラ。
お衣装の胴体部分が、色みも似ているけどエリザベートの病院のグレーに似ていますね。
そこへまた性懲りもなく伯が軍を連れて「待て!あなたが行くのは修道院ではなく、華やかな婚礼の席だ!」…プロポーズはしたんですか?
レオノーラ、嫌がってるのがわからないのね…。
ジプシー男達の策略で、マンリーコとレオノーラは逃げます。
いばらのセットの向こう側に横たわるふたり。
手前に寝ていたレオノーラが上半身を起こし、マンリーコにやさしくくちづけます。ほんとにこういうのウマイよねえ〜〜〜!
ところが、上手寄りでないと、顔は見えません(汗)。
下手がわから出てくると、驚きます。いまだかつて見たことがございません!まだびっくりする衣装があるとは思っていませんでしたが、毛布いっちょ(もちろん裸足)のヒロインです。ちょっと肩を出したかんじでラフに巻いたのがいいですねー。きれいな肩の線、あくまでも控えめに見せなきゃ。私が演出家でも「ちょっと肩出して巻いてみて」って忘れずに注文つけます(笑)。このお衣装(衣装か??)のために今回はピンマイクじゃなくて耳につけるマイクだったの?
そんなことをぐるぐる考えている間に、レオノーラは「結婚を誓う前にこんなふうに結ばれるなんて」と幸せそうに歌うのでした…。
ところで、なんでいつになくこんなふうにだらだら説明してるの??
と、いつも読んでくれている人は思うはず。
いえね、この作品、いやになるほど順番に歌っては、すっかり暗転して、人がどどどと入れ替わって次の場面へ…という演出なんですよね。複数の登場人物の思いを同時に歌うこともほとんどなく、場面のオーバーラップもありません。というわけでこうなってしまうのです。
そうこうしてるうちに、着込んだまま眠ってたマンリーコ起床。
なんで男がそんなに着込んでるの?ああ、戦士だからいつでも戦えるように?毛布は馬にくくりつけてた野営用のものなのよね?でも、そんなにもとどおり着込んでなくてもいいんじゃないの??パンイチは無理なのはわかってる。でも、もうちょっと襟元あけたりしてラフなほうがいいし、なにより男としてのマナーを疑われずにすむと思うのよ。自分だけ着込んでおいて、女は毛布いっちょにしとくか??ファントムは舟のうえでも着替えさせたくせに…。
美しいくちづけも大事だが、ここは先に起きておきなさい!>マンリーコ
レオノーラはそういう疑問ももたず「喜びと驚きが同時に」と歌って、毛布を広げてマンリーコに抱きつき(広げないと抱きつけませんが)、首筋にキスされ…毛布の中身が気になりますねえ(笑)。 いや、心配なんですよ。毛布が万が一落ちてもいいようになにか着ているの??下着の端らしいものが見えてもいいのにな。
そーんなところにいきなり平然と現われる、タニ。人質の伯爵はどこで放したんだろう。ま、森とはいえ大声で歌ってたらすぐ見つかるか…。それともそこは、そういう場所なのか???なんだかなんでも慣れてるもんね、マンリーコ…。(そういえば、イネスと侍女たちはどこで別れたのかな〜。「じゃ、僕たちこれからそゆことで」って、帰したのか??)
でも、着込んでる自分はいいけど、毛布だけのレオノーラはいったいどうすればいいのよ(爆)!「上等な女」なのよ!ちゃんと気にしてやれよ!
どぎまぎして毛布を堅く巻き付けて後ずさるレオノーラ。でも全然男達は気にしてない(笑)。
そのうち仲間全部がやってきて、レオノーラ1人目を白黒させてパニックなようすがおかしい(笑)。でもやっぱりだーれも気にしていないみたいだった…。…ふつーなのね。
しかしね、オカンの危機だからといって、さっき結ばれたばかりの恋人から毛布いっちょで知らない人に預けられ、しまいには鉄砲玉みたいにいってしまうときに突き飛ばされるって、ひどすぎないか?
雄叫びあげてる場合か?>マンリーコ
そんなヤツ、やめときなさい>レオノーラ
3カ月間、戦う伯爵。孤独だそうです。そりゃそうだろう、為政者ってものは。
ここのセットは面白いけど、その間のマンリーコやレオノーラの様子が両袖で展開されるとか、なんかないんでしょうか…。2番まで歌われるとちょっと単調です…。
3ヶ月間、牢獄で責めぬかれたらしいマンリーコ、白髪でボロボロです。
「ジプシーになって逃げた」
ここのフレーズが作品中いちばん好きかも。この希望と慕情がさらに伯爵をいらだたせるでわ>マンリーコ
どこでどうやって見つかったのかジプシー男連中が引きだされ、レオノーラの居場所を言わねば殺すという伯爵。
…もうあきらめようよ…。
男の最後の1人となったとき、どういうわけか人ごみをかき分けてレオノーラが乱入しようとしますが果たせません。その上等なドレスはどこで手に入れたの…?
「間に合ったのね!!!」
…間に合ってないってば…誰のせいやねん…恋人さえ生きてればいいのか?まあ、若いならそれもいいけどね…。
女たちも近くまで来ていた(そうじゃないとレオノーラ1人で来れるわけないもんね)らしく、男達の死を嘆き悲しみます。
「子どもを産むよ!!」
どうやって父ちゃんもいないのに産むの?とか、聞かないように(笑)。
ここの女たちのコーラスがいちばんボリューム大きいです。
すばらしいぞ、宙コーラスの神髄!
牢獄で母にきかせる子守歌。伯爵は「言わなければ母親を殺す」とは脅さなかったのか??
下手袖で、伯爵と取引するレオノーラ。ロザラインよりすることが遅いな。
伯爵にキスされた唇をぐいっと強くぬぐい、牢獄に向かいます。
…クリストファーはそんなことしなかったぞ!案外クリストファーったら上品だったのね(^_^;)。
そこで毒をあおるレオノーラ。もうっ、なんでそこで飲むかなあ…。逃げたのを見送ったあと、婚礼までヒマなんでしょ?ジプシーの毒薬は12時間後とかに作用するはずだったのかねぇ。じゃあ、夜までに効いておきたいけどねえ。無事に逃げおおせたとわかってから短剣で自害するとかより確実だっていうのかな…。
マンリーコに会ったら素直に1人だけで逃げるわけもなし、押し問答もせんならんしアドレナリンばんばん出てまわりが早くなるに決まってるじゃないの。計算して飲もうよ。
再会の固い抱擁ですが、いいですねえ…。
以前書いた「タンゴ・革命」で「私」が帰ってきて「彼女」に再会する抱擁、まさにこんなイメージでした。幸せなら泣き笑いしてるところです。
「いっしょに行こう」「あとで必ず追いつくわ」「なぜだ!」
伯爵と取引して、すべてを売り渡したのかと強く責めるマンリーコ。うん、こういう激情、いい。こうでなくちゃね。ジェイムズ君は自分のふがいなさも責めないで、優雅に星を相手にカンツォーネ歌ってたからなあ…あれは許せなかったなあ…最終的にはちゃんとロザラインを助けましたけどね。
レオノーラは、そんなふうに責められるなんて考えもしなかったみたいで「違う!」とか言いますが、そんなしょーもないウソを信じてもらえるわけがございません。バレバレです。
興奮したので早く毒がまわり、ジジみたいにたかこさんの腕の中で歌いながら、いつものように美しく死んでしまいます。紙吹雪は舞いません。ジジよりも大きい声で歌うので、2階から見るとレオノーラの奥歯はかなり治療されておるようです(汗)。
伯「やはり裏切ったか…」裏切るにきまってるやろ?でも伯爵、そんなに公私混同して追い続けた女性が死んでしまったのに、悲しまないの?私が見落としているのかな…。
ギアが大きすぎるのか、なかなか回らない砲台。もう少し重々しいほうがいいんじゃないかと思いますわ。
たかこさんはほぼ逆さ釣りでスタンバイしてるようです。2階からだとお兄さん見えちゃったよ…。
ここまでアズチューナが生きているのは最後のセリフのためですね。その炎にくちづけするのは復讐をとげたアズチューナ…だと思っていいんでしょうか?
白い鳥になってストップモーションのまま幕。
初日は黒子さんがボロを脱がせていたと記憶しているのですが、次の日はマンリーコ1人でした(^_^;)。
さて、「鳳凰伝」のときも最初は、変な話だなあ、どいつも解らん…と思ってたんですが、見ていくうちにすごく好きになりました。
今回はどうか?
むー、解りませんね、まだ。きっとマンリーコ、レオノーラ、ルーナ伯の若さゆえの暴走であるなら「若いんだからしょうがないわねえ」って言えるけど、毎度申しますが、キャリアも実力もある人たちがやるとこんな変なボヤキをやりながら観劇することになってしまうんですよねぇ。なんで往時の花組のように、オトナの美しくも悲しい恋物語を企画しないの?>劇団
「鳳凰伝」では、登場人物にそれぞれの立場が凝縮されたものがあって、それが見えたときからはたいそう面白かったんですが、今回はマンリーコとルーナ伯がよくわからないんですよね。妙に無機質で。ルーナ伯は「当時の為政者としては当然のことをしているだけ」と座談会でありましたけど、私には今のところ「公私混同の迫害ロボット」にしか見えない…。ジプシーのタニが現代人みたいに達観してるだけに、よけい違和感があるんでしょうか。
もともとのキムシン演出って土台と役割がメインで用意してあるだけで、そこから人間味の芽を伸ばすのは板に立ってからの役者次第ってことなんでしょうか?登場人物になんだか感情移入できないといいましょうか。嫌いじゃないのに。 (「ファントム」みたいに、どいつもこいつもお前が悪いんじゃあ!ってこともないんだけど)
見ていて入り込めないのは、順番に出てきてたっぷり歌うというような物語の運び方だし、美しいステージングもなく、最近の宝塚には珍しく暗転ばかりで(セットを組んでしまったことが裏目に?)、気持ちが途中で切れてしまうのも一因かも。
また、説教クサイ話が嫌いな方には向きません(^_^;)。