さて、2006年オスカル編。
どうにも違和感をぬぐえない新場面。
・ロザリーの幻想
・愛の肖像
・オスカルの居間
なじめずに観劇を重ねました。
もう、「愛の肖像」のパタパタちゃんのことはいいです。
軍神マルスのようといいながら、やたらコンパクトな姿にカールしたまつげ、狐のようなぶっといしっぽが上下し、かわいいお花がついた『浮遊するオスカルとペガサスちゃん』も、アトラクションだと思って見たら楽しいです。前方席でめちゃめちゃ楽しんでいたら、オスカルさまにもにっこりしていただき、1幕を笑顔で終われます。
あんなアトラクションを妄想しちゃうアンドレの稚拙な想像力も、もういいです。
このバージョンの最大の問題は、オスカルとロザリーの描かれ方です。
まずお断りしておきますが、オスカルにもコムちゃんにもロザリーにもまーちゃんにも不服はありません。演出に言いたいのは「オスカルとロザリーをふくらませて描くにしても、元のキャラクターを壊すような変なアレンジはしないでもらいたい」だけです。
…おっさんが、「乙女のリリカルな想い」を形にするとこうなってしまうのですか??
「オスカルさまの匂いがする…」で、「心のひとオスカル」を歌うのじゃ、いかんのですか??
アニメの「おにいさまへ…」でも、名手であるはずの出崎さんのはずが、あの誇り高い宮さまをとんでもない化け物女にしてしまっていましたっけ…
アニメシリーズの「ベルサイユのばら」でも、「今宵一夜」は蛍が飛んでましたっけ…
まあ、「湿原」なのが生理的にイヤ(^^;)なのであって、ベルサイユに蛍がいるかどうかはどうでもいいんですけどね…。ついでにいうと、実写の映画版では馬小屋だったな…
おっさんにはオンナの気持ちはわからんのやな…
私自身はリリカルでもなんでもないし、もちろん若くもないですけどね、アントワネットのいうように、それこそ同じ女なら、「壊してはならない、たからもの」があることくらい、説明しなくたってわかるんですよ。オスカルに憧れ、かなわない、かかえきれない思いに悩んだ。原作の描かれかたはすてきでしたよ。それでいいじゃないですか。
組の編成の都合にあわせて、それを変なナンバーなんかにしてもらいたくなかった。
「私の春風」を壊さないでくれ〜!!!わたしらにとっても、ロザリーは「春風」でいてほしいのよ。
内容はともかく、組み合わせが「どーやねんな、ええ?」としか言いようがなかった「アンドレとロザリー編」だって、こんなひどいキャラクター無視はしてなかったのに…
新曲は2曲です。
まず、ロザリーいきなり登場で歌う「乙女の祈り」。
よく聞いてください。すでに内容がヤバイです。
触れてはいけない 気高き花に…ちっともリリカルなんかじゃありません。口には出せないんだけど、やっぱり「何かしてほしい」んでしょ…( ;^^)?
思いを寄せて ふるえる唇
口には出せない 乙女の祈り
秘めてあふれる 乙女の祈り
上記の「乙女の祈り」を歌い終わって本舞台に行くと、ベルナールが来ています。
はしょりすぎて、ベルばらを初めて見た人にはわからないし、たくさん見てきた人には長すぎる、ふたりきりの思い出話。ここでアンシャン・レジュームと言われてもねえ。
オスカルのお姉様方が来たために部屋から移動しますが…なんの部屋?居間?客間?なんでベルナールふぜいと旦那様が同じ部屋を?
まあ、それはいいんですが、そこでル・ルーにライバルだと言われるロザリー。
そんな布石は要らん…
幻想用の?ドレスに着替えてきたロザリー。
鈍感なオスカルに「ほかに好きな人がいるなら応援するよ」と言われ、泣きます。
「応援」????応援ってなんなのよ応援って!!!どんなコドモ扱いよ!そりゃあ泣くわいロザリーだって。
なのに「あれ?びっくりしちゃったのかな?」なんていうオスカル…
こんな人じゃないでしょうに…>オスカル
…こんなタイトルがついてる段階で終わってますが…
羽山先生の振りでもダメです。
せめて、「幻想」ならスモークたいて、ライトもどうにかしてください…
偽オスカルズにしがみついては「違う!」とびっくりしたり、はいつくばったりしたあげくに本物のオスカルの胸元にしなだれかかるロザリー。
…不可解です。
オスカルさまがあと4人くらいいたら、そのうちの一人くらいは自分を愛してくれるとでも思ったの??でもやっぱりダミーじゃダメなの??
これはもう、お手上げです。
妄想をこえてます。煩悩です。
ばあやに別れを告げた後、怪しく揺れるカーテンに誰何するオスカル。
「ロザリー!ロザリーじゃないか!どうしたんだいこんな夜更けに!」
パリがこんなときだというのに、オスカルったら単純に喜んでいますね。
ロザリーはパリから十数キロ歩いてきたんですね。ドレスも汚さずに…なんでカーテンのかげに隠れてるのかもナゾ。
ベルナールにはなんて言ってきたの?会合の隙をついて出かけてきたの?
「あなた、隠さないで!」ってフェルゼンとマリー・アントワネット編ではベルナールを責めて白状させていたくせに…。
しかも、明日がパリに出動する日だと知っているロザリー。
「取り消しにはできないのですか?」
…うーむ、ばあやのように「軍隊などおやめになってくださいませ」ならともかく、「取り消し」ですか??命令を取り消しにできるのは国王陛下だけでしょうねぇ…
しかもロザリーは「いよいよ明日はパリへの進駐」というのですが…
辞書によれば、「進駐」とは【軍隊が他国に行き、そこにとどまること。】
まあ、いいです、もう。出動の日付をしってることの方が不思議ですから…。
当然のことながら、オスカルには「心配してくれてありがとう。でももう決まったことだから」と諭されてしまいますね。
「かわいいおまえと、敵味方になるわけがないじゃないか」
そのお………かわいいことが、敵味方に関係あるんですか????
でも、そんなことはいいんです、ロザリー。
本題に入ります。ほんとはオスカルさまのパリ行きなんてどうでもいいんですよ、ただ訪問するための口実だったんです。
「好きです、好きなんです。愛しています!」
愛は何色と 問えば 人はそれぞれに答える「愛の色」のたとえ話で丸め込まれるロザリーもどうかと思いますが、「二人を包む」ってのはどうなんですか…????
ある人は深紅と
(中略)
愛の形が違えば花は様々に染まるの
愛の花咲く樹 しなやかに強く 大きな心で 二人を包む
次の日ですね。
ベルナールがロザリーに「攻撃が始まる。今からベルサイユまで行って、危険だからパリに来るなとオスカルに言うんだ」と言います。
…やっぱり昨夜はベルナールに内緒でジャルジェ邸に行ったのね。なんちゅう女や。
ベルナールが全然気づいてないのを幸いに思いなさい。
多少逡巡するものの、昨夜のことなどおくびにも出さず、
「あなた、オスカルさまの数奇な生涯に終わりがあるとすれば、あの方の思い通りに」
とかなんとかいいます。
まあ、いつもの台詞なんですけどね、このバージョンは納得できないぞ。昨日の今日でその変わりようはなんなの??まったくもってひどい女だ。
日曜日の朝、大沢親分に喝を入れてもらうくらいではおさまりませんな…
個人的には人物造形が許せないバージョンですが、オスカルの生き方、アンドレの愛に焦点を当て、バスティーユにクライマックスをもってきたおかげなのか、雪組メンバーのお芝居も熱く、客席はいっぱいだし盛り上がっております。
チケットも難しい公演ですが、機会のあるかたはぜひともごらんになり、ベルばらを後世まで語れるように、思い出づくりをいたしましょう。
ぼやき・ツッコミ、おしまい。