[03/08/03]
『ピエール』東京お茶会で花總さんがいつもお手伝いしてくれている草凪萌ちゃんが初ヒロインをやるという話しを振って、「バウ、観れないんです。観られる方、あすみちゃんの様子を教えてくださいね」なーんて言うもんで(^^;)、無理やりバウ観劇を敢行して参りました。よくも、チケットがどうにかなったものです(^^;)。というわけで、ご報告です(いや、花總さんの目には触れることはなかろうが^^;)。
私は映画は見ていないんです……多分(^^;)。でも、30代前半の友人たちは一様に「かっこよかったんだから!イメージ崩したら許さない!!」と声を揃えます。
そう…映画のイメージ。お喜びください、全然崩れていません。そのまんまらしいです。単純に二次元で表現されていたものを三次元に場を移しただけです。つまり舞台に乗せる為の何の工夫も施されておりませんので、『舞台』を観にきている私たちにとってはとても退屈。スペクタクルな映画だったんでしょ?角川だし。舞台も舞台なりのスペクタクルなものにしようよ。場面転換はすべてカーテン前芝居(巨匠の血筋か?)。人の出入りも毎回同じ袖(下手花道が多かったな)なんて楽しくもなんともないわよ!!伏姫の洞窟でぞろぞろと奥の階段を上ってとりあえず、場面に必要がないから、消えてもらう…という安直な上に見た目もよろしくない演出には閉口(しかもこれが2回も)。親兵衛さんと静姫が結ばれた直後(このラブシーンの演出もブン殴りたいほどのシロモノだった)拉致される静姫。演出の都合とはいえ、ここだけ見たら、男の風上にも置けんヤツだ。>親兵衛
しかも芝居の大詰めは八犬士たちがシーンをもらって死んでいくという谷手法。ここら辺も映画と同じだそうですが、そこまで同じならいっそ脚本も演出も鎌田敏夫さんにお願いした方がよかったんじゃないの?つまりは程度なら舞台化する必要なんてどこにもないの?ってことです。演出家としてもどうかと思うわ。
観たい人がいるから観てられたし、何より初見だから寝もせずに全編観切りましたが、これはもう見なくていいわ……というのが、正直な気持ち。その観たい人も主役のはずなのに、出てこない…。
芝居の演出は下手クソでもショーなら……と、温情をもって臨んだフィナーレ。…あなたにはショー作家としての才能もないのですか(―“―メ)。『それでよければ、私だって…』と思ったファンがあの客席にたくさんいたと思うわ。
船虫さんと玉梓さんの二人から始まったボレロ。あまり前例のない演出なだけに少々退きました、私(^^;)。だらだらとしたボレロの群舞が延々と続き、ラストは空から降ってくる親兵衛さんと静姫。もちろん初日の客席はこらえきれなかった笑いの渦です。そこに降りてくる水さまのなんともバツの悪そうな居心地の悪そうな表情。……何の意図があってお空から……お気の毒としか言葉がないわ(;_;)。そして、ワイヤーをひっかけるためか、お二人の内掛けの背縫いは半開き。これはお衣装ウォッチャーとしては許せません。
で、ヒロイン静姫・あすみちゃんですが。これだけ台詞を言ったことなんて初めてという人ですし、成績も下の方です(^^;)。当然ヒロインになりたいなんて野望も覚悟もいくらなんでもなかったでしょうし、そんな感じの静姫でした。まあね、静姫がやる気満々の野望ぎらぎらでは困るのだろうど。
気持ちのこもった嘘のない芝居をしますし、声もきれいで、まっすぐ出ます。でも、それを生かす技術がないなぁって感じ。そのように育てられてきたわけじゃないので、それは言っても仕方ないのことだろうけど。お茶会に来る時の様子から見ても身のこなしが華麗って人でもないのでね(^^;)。本当に『ヒロイン』として舞台に存在するっていうのは難しいことです。
まあ、初日でしたし、ゼロから始まっていますので、これから良くなることを楽しみにしております。
毛野さん役の和音美桜ちゃん。角川版ですから、女です。プロローグの八犬士揃い踏みのダンスも凛々しく、ソロはさすが。その学年でそれだけドラマを表現してくれる歌手もなかなかいないわ。ただ……白拍子のお姿はいただけなかったわ(^^;)。蛇に好かれる女にもちょーーーっと見えないのが難点かしら(^^)。
浜路の咲花杏ちゃん。蟇田のお城で小袖に内掛けを被ったお姿が可憐。信乃さんに「愛していました」ってのはいくらなんでも時代劇として許せん。「お慕いしておりました、お兄様」ではなぜいかん!!
でも私は農民の女で元気に楽しく歌い踊る杏ちゃんが一番のお気に入り(#^^#)。
とっても若い出演者たちですが、それぞれにこんな作品を頑張って演じております。
そこは微笑ましく見せていただきました。つまらないのは演出家に力がないせいだ!!