ぽりーん先生の観劇レポート vol.16

白昼の稲妻/テンプテーション!

[03/10/09]

最近はただのボヤキと化しているこのレポート。今回も実にボヤキ甲斐のあるお衣装となりました。なぜなのでしょう(;_;)。お衣装担当はお芝居もショーも任田先生なのに。
特にお芝居。CSしか見ていない友人にまで「今回のドレス、どれもいまいちじゃないですか?」などと言われる始末。もひとつ洗練されていないこのダサい色使い。なんとな〜〜〜く『聖なる星の奇跡』を思い起こさせやしませんか?と思ってプログラムを見ると、衣装アシスタントにその人の名前が………。
柴田脚本・荻田演出ということですが、謝演出時より、柴田先生の色がしっかりと残ったお芝居で、なおかつ、荻田先生らしいシーンもあるという作品に仕上がっておりますね。

【1着目】
プロローグで、ゴンドラのような小舟に佇むヴィヴィアンヌ嬢と、その傍らにサバティエ氏。ヴィヴィアンヌは黒っぽいマントに身を包んで、盆廻りで登場です。闇に隠れるように登場するのに、どうして頭に赤い花飾り……(- -;)。サバティエと一緒にいるところなんて誰にも見られてはいけないはずじゃないのかしら〜〜。などと思っているうちに盆は廻り、小舟は消えてダンスシーンへ。
ダンスシーンでは、マントを脱いで白と黒のツートンカラーのドレス。このドレスがまた、黒の分量がダサくて、私的にとってもイヤでございます。しかも黒くてデカイおリボンが更にイヤ。左右のポッポさんとまちゃみのグレーのドレスの方が美しいと思いますわ。
イヤだからあまり見ていないのですよね(^^;)。
【2着目】
アルベールとの再会のシーンです。
これもまた、『聖なる星』を思い起こさせるダサいドレス。デザイン的には任田先生らしいデザインかなぁと思いますが、なぜ、白とど緑(- -;)。トップが白で、スカート部分は見事な (^^;)緑色。私がもし今もきれいなお衣装にあこがれる可愛いお子様であったとしても、全然あこがれませんねぇ、こんなドレス。
そして、ドレス中央部分には不可解な3本のリボンが軍服のモールのように渡してありますが……ロココ風のドレスになら、時々見かけるデザインですが、このデザインに何の意味が……(・・)?まあ、これも好きじゃないのであまり見ておりませんの。裾は細かなプリーツで縁取ってあったように思います。
ドレス本体は気に入りませんが、きっとパニエは新調ですよ〜〜(#^^#)。シャカシャカとうるさいほどの衣擦れの音(^^;)。イギリスで持ち物を売っぱらって生活して、尚かつ自身も劇場の衣装係などをして生計を立てていたほど、困窮していたであろうに、そこは遠縁のおば様が公爵(!)未亡人というだけあって、至れり尽せりのご助力振り。
この辺り、貴婦人の皆様の中には企むマーガレットのオレンジのドレスや、ブルグ劇場のマリーのドレスなどが登場しています。
これ以降もヴィヴィアンヌのドレスより、有りモノウォッチングが楽しくて(^^)。主なところではトゥールベル夫人のクリーム色のドレス(ヴァルモンに最初に迫られるシーン)と緑色のタフタ風ドレス(「僕のものになった」(^^;)シーン)。セシルの「部屋の鍵はかけないで」(^^;)のシーンのオレンジ色のドレス。アラベラのデュエットのドレス等など。
【3着目】
若々しい(^^;)ピンクのドレスです。昼間のドレスですので、もちろんお袖付き。2段提灯袖にその上にご丁寧なまでにキャップスリーブかと思われる布まで付けてありまして、生地たくさん使ったね〜〜と言う感じ(^^;)。マルタン邸へご機嫌伺い(?)に訪れた遠縁のお嬢様はもちろんお帽子も被っていたようです。執事さんに渡しているだけですけどね。そしてドレスの前後の身ごろにおんぶ紐(^^;)かと思うようなバッテンりぼん付き(^^;)。たま〜にこの装飾を使われますが、私的にはあまり好みじゃありません。そのバッテンりぼんの下生地の色はオペラピンク。この前シーン、サバティエの所に忍んで行ったはずなのに、アルベールに見つかってしまうというシーンでは、もちろんマント付き。その下にこのピンクのドレスを着込んでいます。
【4着目】
過去の陰謀によって家族が殺されてしまうシーンの幻想です。絶望の少女時代のヴィヴィアンヌを庇うように成人したヴィヴィアンヌが上手に登場します。白いブラウスにベルベット風赤みのある紫のスカートという姿。
次のシーンではこのお衣装に上着を着て、お帽子を被り、その帽子のシフォン風リボンで顔を隠すようにサバティエを訪れます。
このドレスは好きですねー。すっきりと着こなしてて美しいです。
サバティエに「その情報…おいくら?」などと聞きながら、ちょっとサバティエに引き寄せられただけで全身で拒むなど、どうしようもない深窓のお嬢様。自分で自由になるお金などあるはずもないのに、その覚悟のなさはどうなのかしら?イヤでもどうにかしてお支払する覚悟でいかないと。ベラの見事に根性の座ったあの自信を見習いなさい(^^;)。
でも、もちろん、ヒロインさまは主人公さまとはイヤがりもせず、ラブシーン(#^^#)。
【5着目】
ランブルーズ侯爵から「召使付きの小粋なメゾン」(#^^#)をもらってテアトル・パリをいきなり退団しちゃったベラの代わりにデズデモーナを演じることになる(しかも立候補^^;)ヴィヴィアンヌ。どうしてそんなに都合よく舞台経験があるのかしらねー(^^;)。だったら衣装係などせずにそのまま女優していればいいものを。
このシーンのドレスは水色ベースにレースをかぶせた生地。年若い(-_-;)ヒロインらしく白い大きな襟付き。もちろん、昼間の設定ですから、お肌は1mmも見えません。この時代なら夜会ドレスをバンバン見せて欲しかったのに……。あの美しいデコルテが全然みえませんなぁ………(+_+)。
いえいえ、そんなことより、どんなに悪党でも、付け髭の位置が微妙に顎のラインより上にあっても(^^;)、ランブルーズ侯爵さま、お慕い申しております。私にも小粋なメゾンをください〜〜〜い(#^^#)。
【6着目】
デズデモーナです。ベッド上で嫉妬に狂ったオセローに首を絞められて殺されてしまうシーンですね。やっぱり、ベッドの端に仰向けに美しく死んで欲しかったのですが、幻想シーンてこともあって、ゾンビのように(^^;)2度3度起き上がる以上、うつぶせに仮説舞台奥に横たわっています。最後にオセローはその愛する美しい妻の上にやはり覆い被さるように死んでいるようです。
「どなた、オセロ?まだ起きていらしたの?あなた〜」の声が儚くて好きでございます。
そして、このネグリジェが一番お気に入りだし、デザイナーもここにもっとも力を入れたのではないか?と思わせるほどの美しいドレープ使い。肩口の袖部分といい、後ずさりする時にとても邪魔そうな(^^;)両腕にはドレスから独立したマント風袖(後ろから見ればトレーンを引いてるように見えますね)といい。いや〜〜〜美しい!!
そして、この後セーヌ河畔で何事もなかったかのように晴れ晴れとデュエットダンスに興じるわけです。確かに8年間も心の底にふつふつとたぎらせていた、憎い相手への復讐であって、それが成功したのだから、嬉しいだろう。でも、そのあまりの晴れ晴れしい表情は人間性を疑ってしまうわ!……と、思うのは私がランブルーズ侯爵様をお慕いしているからでしょうか(^^;)??

 

さて、ショーです。『テンプテーション』というタイトルと岡田演出ということで、過剰に反応してしまい(^^;)、必要以上に妄想を働かせたせいか、肩透かしを食った感じになってしまいました。これも演出助手がほとんど演出したんですか?と勘ぐってしまうようないつものロマンチックレビューらしくない構成。お衣装の方はお芝居よりは任田色の強いデザインかなーと思います。
【プロローグ】
座談会にもありました通り、ポスターのお衣装で下手より登場ですが、頭はターバン付き。鬘作る手間が省けて助かったことでしょう(^^;)。
イヴという役名ですが、特にその名前でなくても、踊る女Sでいいんじゃないかなーと(^^;)。前場でヘビは妖しく観客を違う世界へいざなっていますが、決してイヴを誘惑しているわけではないので。イヴという役名をわざわざつけるなら、多少ヘビと絡むとかあってもいいんじゃないかなーと思いますが。
花總さんには珍しくかっこよさげ(^^;)に踊るシーンがございます。…が、終始笑顔なので、メリハリがないんですよね。『ラ・カンタータ』プロローグのあやちゃんはかっこよかったのに〜〜。
その他の皆さんのプロローグのお衣装はロマンチックレビューでよく見るお衣装群です。『ル・ポアゾン』とか『ナルシス・ノアール』とか。
【デュエット】
歌う淑女ということで、上手花道から登場して、恐れ多くもそのまま銀橋へ(@_@;)。途中から白いタキシードにブルーのビーズ刺繍付きたかこさんとデュエットになります。
花總さんには珍しいブルーのストラップレスドレス……なのですが、ここでビニールの透明ストラップを使っているのがすごく気に入らないんですよ。いつもはこんなダサい手法のストラップレスにはならないんですけどねぇ…。
そして、こちらのアクセサリーのセットはメルトゥイユ夫人のスチール(東京版=プロローグのドレス)のセットです(^^;)。あの当時は花總さんが色のついた石のアクセサリーを使うなんて珍しかったので、ものすごく印象に残っているんですよ……。それって私だけじゃないと思うのよね……。
【インドシナ】
招福貽の看板の元、金のモール刺繍のような縁取りの付いた、赤いベルベット風ウエディングドレス(らしい)で板付きです。
……割と手抜きのお衣装でしょう(^^;)。まあ、すぐに脱ぎますし。
そこへ上手花道から眉間にしわ(#^^#)を寄せながら、道ならぬ恋の相手であったらしいグェンが追われて登場。スー・リンの手を取って、追手から逃れるよう下手花道へはけると、すぐさま、舞台は替わりまして、ここから蓮根(^^;)畑の幻想シーンへ。いえ、幻想ならいかにも幻想らしい舞台装置にしていただければ、私達だってこんな言い方はいたしません。でも、ちょっとそうは見えなくて(^^;)。
銀橋で青年らしい不器用さでスー・リンの唇を奪おうとしたグェンですが、スー・リンは可愛らしくそれを拒みます。そうね、宝塚らしい純愛路線ね………と思ってほのぼのしたのも束の間。上手袖に来るといきなりグエンに赤いドレスを脱がされます。そして簪も外されて、解き髪にされます…それはちょっと違うんじゃないのーーー!!しかもなんかスー・リンの吐息まで聞こえてきそうな雰囲気です(^^;)(#^^#)(^^;)。どうして袖に入って、センター奥とかからの再登場じゃいけなかったのかしら(;_;)?男はいいんですけどね、自分で脱いでも。まあ、それはともかく、赤が脱がされると真っ白なアオザイ風。蓮根畑で真っ白な服で遊んでいたらドロドロになってしまうわよ………(―。―)。
そして、また、グェンの『今』に時間が戻ると、花總さんは下手から花売り娘として出てきます。トップは赤。ボトムは黒。笠をかぶっていますが、「ふぅ…っ」宙を仰いだ時、グェンはスー・リンに面差しが瓜二つのその娘にハッとするんですね。
【熱愛のボレロ】
たかこさんのお衣装も花總さんのお衣装(これは確実に)も恐らく新調なんだと思います。トップコンビですからね(^^;)。でも、たかこさんのお衣装なんて、当時とほと〜〜〜んど同じなんですよね。最初のマントの色が違うことを除いては(もちろん、後でシメさんファンの知人に言われるまで気づきませんでしたが(^^;))。花總さんのドレスもラインは当時と同じで、装飾がちょっと違うだけ。見た目とてもシンプルできれいです。
当時はバックのデュエットが3組。トップコンビを入れて4組だったのが、今回はバックに4組となっておりまして、当時の有りモノお衣装はバックのデュエットが全部着ているのかしら?という感じ(^^;)。
それにしても歌詞にある「咲き誇る紅いばら」とか「闇に舞う女豹」とか、当時のあやちゃんへの形容としてなら見合うのですが、花總さんて「紅いばら」とか「女豹」というイメージではないんですよね。
ここもプロローグ同様、もっと色んな表情を作ってほしいところです。
【テンプテーション】
大階段で燕尾姿の男役さんの総踊りとして演出する曲じゃないかも〜〜〜(;_;)というのが正直な印象です。
たかこさんの燕尾もそんな装飾過多じゃなくすっきりと普通の燕尾の方が色っぽいと思うし。まして、大階段から降りてくるテンプテーションの女の衣装だってそう。
この女は「誘惑する女」かもしれないし、男達の「抑えきれない衝動の象徴」かもしれない。だったら、この踊る女のドレスはその赤ではなく、もう少し深みのある深紅。「赤」ではなく「紅」であって欲しいし、アシンメトリーじゃなくてもいいけど、せめてスリップドレスであって欲しかった(…つまり肩は出せ!…と(^^;))。確かに袖の部分はシースルーな生地だし、シースルーって見え方が一つではないので、艶っぽく見えることもありますが。だったら、そのシースルー生地をバイアスで縁取らなくもいいんじゃないかしらねぇ。それに、このドレスもあまり装飾は要らないと思うのです。『女』のラインが美しく見えればそれだけで十分だと思うんですよね。
そして、花總さん、もっと妖艶に踊って〜〜〜!!
【フィナーレ】
ゴールドのマーメイドラインのドレスに、白とオペラピンクのグラデーションの背負い羽です。
ま、これはどーでもいいかな(^^;)。
以上、全然お衣装の報告になどなっておりませんが、ぽりーんでした。