ぽりーん先生の観劇レポート vol.28

ベルサイユのばら2006フェルゼンとマリー・アントワネット編

[06.2.2]

いや~~『ベルばら』はやっぱり楽しいです(^_^;)。楽しすぎで史上最長のレポートです。長文がおきらいな方や水オスカルがお好きでない方はすっ飛ばしてくださいませm(_ _)m

演出がおかしいのは今さら慣れっこになっているはずなのに、観るたびに『どうして?』と首を捻らずにはいられない、それが『ベルばら』。
メルシー伯爵…お庭からお宅訪問するのは、案内を請わずに訪問する以上に貴族として、いいえ、社会人としてあるまじき行為だと思います… (^^;;;;
王妃さまにお別れを言ってからスウェーデンに帰るまでに時間がかかりすぎるわ>ハンス
原作以来、フェルゼンは私にとって朴念仁以外の何者でもないのですが、「これでお別れなのだな」というせりふだけでオスカルの気持ちを察してしまうなんて、なぜかその時だけとってもクレバー(^_^;)。
スウェーデンのフェルゼン邸前で、花祭りに浮かれて踊る市民…。ドアはあるが、奥からジェローデルが案内されてくるってことはそこは中庭?!フェルゼン家ってとっても名門なはずだけど、一般市民がそんなに気安く歌って踊れるようお屋敷の造りなんですか?
「巨大な歴史の歯車云々」のせりふは第7巻(文庫版なら4巻)でオスカルがアンドレに告白するシーンのオスカルのせりふですわ。これまの宝塚バージョンでも今宵一夜でのオスカルのせりふでした。それをアンドレが偉そうに語るのはどうしたものか…。しかも今宵一夜でしっかりオスカルも語っちゃうんですよねぇ…2回も同じせりふを聞くのは鬱陶しいんですけど…。
まあ、今回一番おかしいのは今宵一夜とバスティーユが2部冒頭にあり、それも、ジェローデルがフェルゼンに物語るという演出ですわね。
オスカルとアンドレが強く結ばれたことをなぜ知っているのか?革命の華と散った(この形容は嫌い)ことをなぜ知っているのか?100歩譲って市街戦とバスティーユ陥落の話は近衛連隊長のジェローデルのこと、報告を受けたと思ってあげてもいい。でも、今宵一夜は見てないよね(^_^;)?見てたとしたら完璧ストーカー(^_^;)。ある人に言わせると「アンドレが嬉しさのあまりメールしてん」ということになるのですが…(^^;;;;
「アンドレ…!この戦闘が終わったら結婚式だ!」で、袖に引っ込んだアンドレが携帯ぴこぴこ打っている姿を想像して、どうしても笑ってしまうの……(^◇^;)!!

…まあ、そんなことも楽しい『ベルばら』(^_^;)。
『ベルばら2001』で水オスカルに堕ちてしまってから、私にとって原作のイメージに一番近い彼女に再び会うことが星組観劇の目的でした。
…しかし…5年の年月は無常でございました(^^;;;;;
オスカルの享年はお誕生日前なので33歳。ですから今なら、年齢的にもぴったり。でもね…きれいじゃないのよ、今宵一夜が…。まあ、これはオスカルだけの問題ではないんですけどね (^^;;;;
2001年…20代同士のツーショットはきれいだったなぁ……。
お化粧もそうですが、特に鬘は2001年大劇の方がずっと好きでした…。重みがあって、バスティーユで振り乱す様子がきれいだった…。
ですが、演技はすばらしいです。貴族的な隙のない身のこなしや(この演出では会ったこともないくせに^^;)王妃様への心からの忠誠心。衛兵隊や市民を引っ張っていく力、そのカリスマ性。革命の先頭に立つに至るまでの葛藤とか、今宵一夜の意外にも(^_^;)恥らう初々しさとか。だって、この人からは原作の「こん夜ひと晩をおまえ…と…おまえと…いっしょに…アンドレ・グランディエの妻…に…」とちょっと上から誘った後で「あ…だけど…だけど…こわ…い!!」っておとめちっくなせりふも、自然に聞こえてくるんだもん(^◇^;)。アンドレやらせると、歴代で一番野獣(^_^;)だと当時周囲が盛り上がったくらいの男らしさだったのですが、オスカルになると、今宵一夜のなんといぢらしいこと(^_^;)。
オスカル役者に巨匠が何を求めているか知りませんが、やはり私的には『他人についていきたいと思わせる何かを持っている』ってことは条件の一つなんです。「シトワイヤンっ!行こーーーーーっ!!」でこのワタクシが「はい」と返事をしてしまうくらいです(管理人は踊れもせんくせに踊っているらしいけど^^;)。そうよ、原作のオスカルだって顔が長いのよ(^◇^;)!特権階級に育ちながらも、市民生活の貧しさを知って己を恥じることができる…そんな人ですから、熱くなくてどうする!!アンドレが原作でオスカルを評して『一見冷ややかに見えて、血の気が多く激しい』とかなんとか言っていますが、ちかちゃんのオスカルはそんな人です。熱い血を感じさせるオスカルでした。
オスカルは自らがソフィア嬢に語っているように、男として育ったことに何の疑問も持たなかった人ですから、軍服着ているときは『青年貴族(しかも誇りをもった武官)』なんですわ。「心も身体も男でございます」なんてとんでもないせりふもあったぢゃないですか(^◇^;)!で、それは当然、無理して『男』を作っているユリウスとは違うものなんですよ。ですから、あまり『女』を強調されるのは嫌なんですね。そこら辺の表現が今後、全ツでもオスカルを演じるに当たって、前面に出なければいいな…と祈るばかりです。そうじゃなくても宝塚の演出、特にオスカル編(アンドレとオスカル編しかり)の演出はこの辺り危険ですから。
お衣装は水色、赤、白の軍服と今宵一夜のブラウス(+すぐに脱ぐジャケット)だけですが…オスカル編ならバスティーユの後は天国だから白い軍服なのも当然だと思うんですが、天国のシーンがないなら、一番似合う色で死なせてあげたかった。ちかちゃんは赤い軍服の方が何倍も素敵なのに…(;_;)。とすると、全ツのバスティーユも当然白だな……(;_;)(;_;)。
フィナーレ「小雨降る径」のことはあまり触れたくないわ…。黒いソバージュは確かに大変きれいに仕上がった鬘だ。頭飾りもきっとまた、一生懸命作ったことでしょう。でも…あまり似合っているとは言いがたいものがあったのよ……。ターバン付ブロンドの狼カット(^_^;)の方がお似合いだったわ。靴も大変凝っていましたね。おみ足もおきれいでした(^_^;)。もう少し女性らしく踊っていただければ更によろしかったでしょうに…。ダンサーの男役さんにありがちな、女装した男性が踊っているようなダンシングはちょっと(^^;;;;

アントワネット。艶やかです。声もいいですね。「青きドナウ」を初め曲も声質があっているようで、劇場に響く声がきれいでした。…上手い下手はこの際不問(^_^;)。
芝居自体はここまできちんと繋がって、入り込んでできれば、十分でしょう。艶やかさも手伝って、花總さん負けちゃったかも(^_^;)。花總さんは紅ばらではありませんから。となみはまさに今を盛りと咲き誇る大輪の紅ばらでしたよ。
深く物事を考えない軽率を絵に描いたようなアントワネットそのもので。アントワネットってあんぽんたんのくせに(^_^;)艶やかでありながら可愛くて、とても魅力的な女性だったんだと思います。そのあんぽんたんのお姫さまが断頭台に至って「女王」というに相応しい威厳を見せてくれて、一人の女性の成長をきちんと伝えてくれました。花總さんは最初からかなり威厳があったもんね(^_^;)。
そのアントワネット、新調のドレスはたった2点(^_^;)。プロローグの赤とお舟のドレス。お舟のドレスは2001とほとんど同じなんですが、デコルテ部分のデザインと身ごろの飾り(なんか安っぽいバラでしたねぇ…+_+)と袖、バックのリボンが違いますね。これは全ツの時に新調されたものですよね?テュイリュリー宮のドレスは2001の同シーンのドレスだと思いますが、前身ごろの飾りを全部取っ払ったんでしょうね。当時パニエをパンパンに入れて着ていたためか、裾がちょっと長すぎでした。舞踏会ってわけでもないのに、しかも軟禁状態であるのにあんなにスカートを膨らませていた方がおかしいとは思うのですが。
全ツのお舟のシーンは頭が重たい感じがして鬘がちょっと…という感じでしたが、大劇ではバランスも特に気になりませんでした。鬘といえば、牢獄も全ツの艶やかな銀髪から疲れて艶のない白髪に変わっていました。
柔らかい顔立ちの割には意外に寒色系のドレスの方がお似合いで、星奈さんの紺のベルベットのドレスがよくお似合いでした。
ボレロは初心に帰ってラメラメのドレス。この方がボレロらしいわ。

そんな上等な女二人に愛されるフェルゼンという朴念仁。わたさんはフェルゼンというよりハンスと呼びたくなるような感じ(^_^;)。大人の色気とかちょっと足りない感じがします。新調のお衣装の色がどれもパステルなのもいけなくないだろうか…。もっと落ち着いた色味にして、外見からも成熟した男性を演出して欲しかった。だから原作にないお姉さま役などを作り、「ハンス」とファーストネームで呼ばせないで。オスカルがいかに恋に奥手であって、白馬の王子様然としたフェルゼンに初恋を感じたとしても、ただのきれいな衣装を着たお人形なだけなら、30過ぎたあのオスカルがいつまでも片思いなんて続けていないはず。頭のいい女は自分より成熟した男に惚れるもんです。その辺りの演出が甘かったかなぁ。

アンドレはですね、もう少し若い時に観たかったなぁ(^_^;)。
できれば、死ぬシーン、もう少しきれいなお顔で死んでください。怖いんです。橋の上見れないんですぅ……(^_^;;;;
とうこちゃんのアンドレはとても血の気が多いんですよ。「おとなしくて、控えめで、はじけなくて」とオスカルがアンドレを評するように、アンドレは静かにしてて欲しいんですよ(^_^;)。アンドレがいるそこだけ、体温の熱さを感じるような存在感はちょっとイヤなんですね。…ですから、2001の水アンドレはもうひとつ好きになれなかった私。どこまでも自分の気持ちを押し殺す我慢ができて、でもその結果、ブラウスビリビリ事件(^_^;)や毒入りワイン事件なんか起こしちゃうのに。このアンドレってそこまで我慢しないし、想いは最後まで遂げそうだし(^_^;)。
ですが、とうこちゃんのお歌は本当にほっとします。銀橋の「白ばらの人」なんてもう、どんなに嬉しいか。でももう少しお上品に歩いてくださいね。雪駄はいて、おはしょりひっかけて肩で風切って歩くようなのはいかがなものかと…(そう見えるのは私だけか^_^;?)。
アンドレとオスカルの歌唱のレベルが違いすぎて、今宵一夜はアンドレだけで歌っているように聞こえてしまうんですよ(^_^;)。やはりデュエットは同程度のレベルでやったほうがきれいにハモって聞こえますよね(^_^;;;;

ジェローデルがいいです(^_^)。原作者がジェローデルに求めているものをしっかり体現してくれています。なんつったって金ありそー(^◇^;)!
経済的に何の不安もなく、物質的にも精神的にも豊かに育った青年貴族。貴族社会の矛盾に気づきつつもその中で十分に謳歌できて、誰に対してもきっとフェアな懐の深さとか広さとか感じるじゃないですか。
このジェローデル、カメさんの次に好きだ(^◇^;)!

…ロザリーは、小さいほうが見た目にいいかもね((((((^^;
どんなに資質はロザリーに合ってても、やっぱ「私の春風」がその「私」よりでかくてはいかんと思うんですよね……((((((^^;
まあ、これまでのロザリーも真に「春風」はそんなにいなかったけどさ。空っ風とか、木枯らしとかひどいこと言ったもんですわ(^_^;)。咲花杏ちゃんのロザリーとか可愛いだろうなー(^◇^;)!

でも、やっぱり『ベルばら』は楽しいんです。夏までは『ベルばら』でかなり楽しめそうな宝塚。
…あ…一部のファン(^_^;)にはファン史上最大のイベントも同時期にありましたっけね。