おフランスおばか旅行
writed by ぽりーん
photo by musette(1994当時)

誘われて、興味があればほいほい付いていく私は、9月も半ばにならんという時期に夏休みを取って何度目か分からないおフランス訪問をいたしました。以下のお話しは全てノンフィクションでございます(いえ、そんなごたいそうなものではございませんが)。

(1) 下着からすべてが始まる

旅行に行く前になるとなぜか欲しくなる下着(^^;)。そろそろ買い時だったってこともございますが、根っこがめんどくさがりやなので、下着を買いに行くのもおっくう。だったら通販利用すれば?と思われるでしょうが、留守がちだし標準サイズではないのでちょっとイヤ。ですから、旅行に行って不覚の事態に(どんなだよ^^;)陥ったときに恥をかかないように、さすがにものぐさな私もお出かけしたのでございます。

ワードローブのほとんどがニットやカットソーだったりする私はごてごてと飾り付けられたものは好みません。そして、毎週ホテル住まい(と書けば聞こえはいいが、ただの地方勤務)の私は薄っぺらな方がなにかと好都合。で、その二つを満たすものを探せども、なかなかサイズがございません。仕方なく、販売員にお伺いをたてました「あのー70Aというのはないのでしょうか?」販売員はちょっと気の毒そうに私のスマートな胸元を見て言いました「最近は少ないんですよね」
外国製品だと、きちっとサポート力があって、分厚いパッドなしでもスマートなものをそこそこに見せる(^^;)製品も多いのだけど、貧乏な今、たかが70Aというさして生地代もかからないサイズに福沢先生1枚が軽く飛んでいくようなものは買えません。で、最近は仕方なく日本製品を買うのですが。

だいだい最近の風潮として如何に豊満に美しく見せるか?というものが多いようで、パッドがとっても豪華です。そのパッドなら服さえ着ていれば私だってCとごまかせよう。で、大概こういうものはゴージャスなレースがこれでもか!と飾ってあります。レース自体は嫌いじゃありませんが、そんなもんがゴージャスにくっついていてはTシャツやニットなんか綺麗に着れないじゃない。で、そうじゃないものを探せばそこにはAというサイズはないのです(>_<)。どうせ、私は全身規格外よ。
それでもなんとかパッドが取り外しのできる2点を買い求め、帰宅いたしました。

帰宅後のホットラインの会話。販売員の高飛車な態度を切々と訴える私に、その女も高飛車にしかもせせら笑いながら(^^;)言いました。「そんなことなら、ブラジャーなんていらないのでわ?」
女の友情なんてこんなもんよね。と思いながら反論いたしました。
「こんな貧相な胸だからきれいにお洋服を着るためにも絶対ブラジャーは必要なの!!」
おフランスから帰国後はこうも言った人がおりますわ「ジュニア用みたいのでいいんじゃないですか?スポーツブラみたいなの」

何とでも言ってください。どーせ持てる人には持てない人の悩みは分からないわ。そうよ、私は縄跳びなんか思春期の頃だって何の苦もなく二重飛びができたわよ。

 

(2) 機内にて

そうして、旅行用の支度も終え、テロの後遺症の続く成田をJALで飛び立ちました。

あまり日本の航空会社を利用したことのない貧乏人はJALで外国に行くのは初めてでございます。初めてですといろいろ探検したくなるのが根が貧乏性な私。使えるもんは使ってしまえっ!もらえるもんはもらってしまえっ!!てことですね(^^;)。最初のワインは飲まず保管。お食事の時にだけお酒は飲みましょう。機内サービスのワインはお料理用にジャストサイズです(^^;)。

で、予感的中。予定では帰国日辺りにお客様はいらっしゃるはずだったのに、パリへ移動のスジュール中日に突然いらっしゃいました。これではJALからかっぱらって来た(^^;)だけでは全然足りないと観念して、20年は遅れていようか?と思われる外国製品のお座布団を購入ることにハラを決めました。どーせ粗雑品と思っておりましたが、あら、びっくり!きちんとテープ付き!それも横に1本ではなく、縦にですよ!!しかもその店にはなかったんですけど、羽付きもあってまたびっくり!!お座布団はあまり使われないと聞く外国でもちゃんと進化はしているらしい(^^;)。これで吸収力と薄さが進化すればもう海外旅行も恐いもんなしなのに。……行くとこに行けば日本製のいいものも売ってあるんでしょうけどね。……その前に不安がすこしでもあるなら持参しましょう>ぢぶん

旅行中はそれほど大変でもなかったんですけど、最後の日はさすがにダウン。ここまで保ったのが不思議なほどでございましたから、最後のフリー半日は一人で部屋に寝ておりました(;_;)。
更に機内は不幸でした。通路際のお席でもなかったので端の人にご迷惑をかけながらのおトイレ通いを強行(^^;)。こればっかりは仕方ないので、許してくださいね。私の隣だったおばちゃん。
外国製品の吸収力にうんざりしていた私は「いいさ、JALに乗ればロリエがあるもん!」と思っていたのに。日本から来た飛行機の帰りの便にはノーブランドしか置いてなかったのです(>_<)!!
……私みたいな人はごまんといるわけですね……。いや、本当に機内で必要だったのかもしれないけど(^^;)。

 


▲パリ・オペラ座


▲ピガール広場


▲バスティーユ広場


▲オランジュリー美術館内


▲街角の有料トイレ


▲バキュームカー

(3) 絶対ベルサイユに行ってやる!

さて、どうしてこの旅行に行ったかってゆーのは単にモンサンミッシェルに泊まるツアーだって聞いたからです。だから後のロワールの古城巡りもパリのフリータイムも私にとってはおまけなので。車にも興味なんてないのでルマンに行っても(ほとんど通過しただけなんですけど)別に感慨もないし。パリのフリータイムだって貧乏人はお買いものなんて興味はございませんので、2日もフリーがあると考えることは1日はパリ市内に付き合ってやるが、もう1日は絶対ベルサイユに行ってやる!!ってこと(^^;)。パリ市内も、この旅行、誘われて行くことにしたわけですから、全然事前にお勉強などしておりません。

「私は睡蓮見てぼお〜としているから1日目は勝手に好きなところに行っていいよ〜」と、言い放った時、同行者は見下すように私を見て言いました。「オランジュリーは今閉館中なんだけど。読まなかったの?旅行社のガイドブック??」。失意の私は腹いせに無理矢理カルナバレ博物館などに付き合わせてしまい、うんざりしておりましたな、同行者は(^^;)。そりゃそーよね。日本語の解説はおろか英語もなかったし(パンフレットはあったのかしら?)。その上、思ったより広大だった(^^;;;;

ここでそんな話しをしても仕方ございませんでしょうし(してもしょうがない話しを沢山したようだだけど^^;)、ベルサイユのお話しをいたしましょう。

 

フランスは入国してから帰るまでお天気にはあまり恵まれませんでした。モンサンミッシェルの1日だけが晴天でしたけど、後は曇り空。曇っていりゃあこれだけ緯度が高ければもう晩秋の雰囲気。覚悟はしていきましたけど、思っていた以上でした。夏場でも上着着て、今宵一夜やっても仕方ないわ。>アンドレ

で、そんなお天気の最悪の日がベルサイユに当てた1日。割と晴れ女だと思っているのですけど、この日は雨。お庭が舗装されているわけないし、ですからこの場合お散歩は中止ですわね。雨さえあがればぬかるみだろうが、なんだろうがトリアノンまで行く覚悟はあったのですが。

所詮はオタクなのでフランスにくりゃあ意味もなくベルサイユを訪れます。その度に「もう宮殿はいいよなー」と思いながらも見学しているので、宮殿はどーでもいいんです。でも必ず付いてくるのよね、各種解説付き見学コースには。そうです、お目当ては初回訪問以来病みつきになった、言葉も分からないくせにガイド付き見学なのです。これだと宮殿の通常コースとは別に入れるお部屋もあるわけですね。

かすかな記憶だけをたよりに行き当たり張ったりが信条の私は確か入口はこの辺……と、入口Dへ入りました。

確かに入口Dは国立博物館専属ガイド付きツアーの入口だったんですが、以前と書いてある内容が違うようなんです。私は日本以外では文盲(^^;)なので、インフォメーションで日本語のパンフをもらいました。と、以下のようになっておりました。

◇国立博物館専属ガイド付き見学(仏・英)
OP:ルイ15、16世の小居室郡(「群」の間違いではなかろーか?)
   アントワネットの小居室郡(だから「群」の間違いではなかろーか?)
   オペラ音楽堂と国王礼拝堂、ルイ14世の日々、国王の寝室etc.
入口D/1時間:25F+入場料(=49F)
    1時間半:39F+入場料(=49F) 
    2時間:52F+入場料(=49F)
◇ガイド付き国王寝室見学(8ヵ国テープガイド1時間)
ルイ14世居室、鏡の回廊、王太子と王太子妃の居室
入口C/26F+入場料(=49F)

オプションの意味が分からず(以前は各コースに細かく分かれててオプションという書き方ではなかったので)、まあどうせ言葉だって英語もほぼ分からないから、日本語ガイドテープを選びました
(これって昔はなかったと思うんだけど?)。この王太子のお部屋シリーズには入ったことなかったし、それに他は全部見て廻ったし。

たまに「マドモアゼル」とゆってくれるフランス人もいるから(^^;)、ちょっと見なら18才以下(宮殿の入場料分がただでございますのよ)に見えたりしないかな?と思いながらもしぶしぶ入場料分も払ってご入場。
庭をくまなく歩こうなんて思っていなけりゃ、そしてガイド付き見学をしたいなんて思わなければ、午後3時半以降は宮殿の入場料は35Fに割り引きされますから、その方がお得よね(5〜9月末まではガイド付きの最終入館が5時までなので頑張ればガイド付きだって可能かも^^;)。
入口で75Fという大金(^^;)を払い、チケットカウンターの後ろにまわるとテープレコーダー係が「英語は分かるか?」とフランス語訛りの聞きとりにくい英語で話しかけてきます。「べりぃりとるぅ!!」と元気に答えると、単語と単語の間にたっぷり3秒程の「間」を取り、使い方を説明してくれました。それに比べたら、モンサンミッシェルで案内してくれたガイドさんはフランス人の英語の割には日本人にも聞き取りやすかったわ。


(4) 雨のベルサイユ

で、まあこのカセットテープを頼りに各お部屋を廻っていくわけです。
午後にかかった時間だからか日本語テープも用意してあるのに、このコースには日本人はいなかったようでした。オプショナルツアーなんかで廻ってもベルサイユはつまんないぞ!!
人気のない階段を昇って2階へ上がると、衛兵の間だの、なんだのの間を次々と巡り、気が付くと鏡の回廊に出ておりました。真ん中は後で歩けということらしく、鏡の回廊のロープで区切られた端っこを通り、別のお部屋へ。このなんとかの間(^^;)というのを何の感慨もなく、突っ切って1階へ下りたところが確か、王太子の居室。

この王太子というのはルイ16世のパパのことなのかな?オタクだけどそこら辺の詳しい系図までは極めていないし、さすがのテープ様も系図までは説明してくださらない(一般的な系図には15世と16世の間にもう一人ルイって人がいるって書いてあるだけなのでね)。で何しろ、16世のことでも、その子供たちのことでもなく、16世以前の王太子のことらしい。この方以降、王太子はこのお部屋を使っていたらしい(すでに記憶はあやふやなのであまり信用されぬよう^^;)のですけど、ここからは実によぉ〜〜く大運河が見えるのです……。

劇中アントワネットがフェルゼンと忍び会っていた向こう岸も霞むあの広大な湖がこの大運河だったとすると、そんな母の様子をルイジョゼフは生前見ていたのでは……なんて勝手にジョゼフの心中を察して涙していたワタクシはテープが「ここを見ろ、あれを見ろ!」とせっせと解説してくれているにも関わらず、窓からひたすらぼぉ〜っと大運河をみつめ、はかなかったルイジョゼフの一生に想いを馳せるのでした。
……まあ、照明もなかろうから誰が何を大運河でやっていよーと見えやせんだろうが……。そんなところに一人で忍んで行くのも不思議な話だけど(原作でもオスカルにそう語らせているから、アントワネットは怖いもの知らずだったのかもしれないわ……^^;)。

この部屋だか次のお部屋だかのどこか、当時の寒さと体調の悪さもあって、すっかり忘却の彼方なんですけど、何しろ王太子の居室のどっかに飾ってある肖像画の中には15世の子供たちのものが沢山ございました。15世の子供たちっていうと、原作に出てくるいぢわるババぁ風(^^;)の3人のおばさま達。その遠〜〜〜い若き日の姿が輝くばかりに美しく描かれたものや、王太子の子供時代などの肖像画が数点飾ってありました。この時代の肖像画はぽりーんにとって、とっても興味をひくものでございます。レースやリボンなどの装飾はもちろん、ドレスのしわまで美しい宮廷絵画。ああ、至福の瞬間……!!

この時代、男の子は7〜8才くらいまで(日本でいう元服(^^;)まで??)女の子のドレスで過ごしていたのだそうです。王太子がドレスをまとった姿で肖像画になっております。こういうのはただ見ているだけや、かなり文盲に近い英語や完璧に文盲のフランス語の説明にくっついて行ってところで分からないわけですから、テープガイドは借りるべきだわ。

だから本来ならシャルルもドレスであるわけですね。……初嶺ちゃんのドレス姿はさぞ可愛いことでしょう(#^^#)。
復元(というのか?)された王太子妃の間はどーにも落ち着かないらぶりーなお部屋でした。たとえていえばヘレンドの「ウィーンのばら」シリーズをお部屋にした感じ(^^;)。私はリボンもレースもフリルも大好きだけど、お部屋と食器はあまりごてごてしていない方が好みなので。……だってお掃除が大変ぢゃないですか……ああ、庶民(--;)。

 

一通りテープガイドに沿ってめぐり終わった頃には雨も本降り。いくらなんでもこの雨で更に体調も悪いでは、愛の神殿まで行って星奈さんよろしく、よよっと柱に寄りかかって歌のひとつもかます……などといういらん考えは吹っ飛びました。宮殿入口(このコースの宮殿入口はB2)に行くまでにまずはお手洗い……とそこは国際色豊かな長蛇の列。……そりゃ寒いから当然ね。
入口のおトイレおねーさんに相場よりやや高めの小銭を支払い、個室に入り、用を済ませ、身支度をとろくさく整えていると掃除番の黒人のおばちゃんにドアをどつかれました。外へ出ると「No smoking!!」といきなり怒鳴られ、「吸ってねー!」と怒りたかったけれど、咄嗟に英語なんて出てこないおばかさんな私。
ベルサイユのおトイレ掃除のおばちゃん!!よく読め!!
私はタバコは嗜みません!!!

ちょっと出て来るのが遅いとフランスでは喫煙してることになるのだろうか?だったらお腹の具合が悪い人はいったいどうすれば…………(--;)。
……で、どうでもいい宮殿一般公開コースをさらっと巡って、私のベルサイユの旅は終わりました。やや体調が下降気味だったのですが、ベルサイユは気合いで乗り切りました。が、気合いもそう長続きはいたしません。最後の半日と帰りの機内はほとん意識消失状態。
前述のように帰りもJALでしたが、期待のロリエもなく苦しくも空しい12時間。
お願いだから復路便にもいい製品を置いてね!>日本航空

▼入り口「D」



▲プチ・トリアノン

▼愛の神殿

▲田舎の家